ガリア戦記 (岩波文庫 青407-1)

  • 岩波書店 (1941年2月5日発売)
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感想 : 78
5

働き盛り、脂がノリに乗っているキレッキレのローマ執政官・カエサルによる言わずと知れた一大戦記。
とにかく闘争に次ぐ闘争、アドレナリンがバチ漏れダダ漏れ水芸セント・へレンズ大噴火状態。
めっちゃくちゃ面白かった!面白すぎて細かくメモを取りながら読んでいたら丸々一週間かかっておりました。

筆マメな人物だったんでしょうか。紀元前58年から52年までの7年間に及びガリア各地部族の動向や戦闘の経過が実にまざまざと記述されており、尚且つ登場人物のキャラクターまでがしっかり描き分けられていて全く飽きが来ない。
唐突に初出の人名が出てきたり、呼び方が箇所によって違ったり混乱する部分もちょいちょい見られるが、そこはメモでカバー。どうしてもわからない箇所は巻末の〈地名人名索引〉や補註を活用すれば解決できます。
似たような人名が多いし〜ヌスとか〜ウスとかどんだけ出てくるのよって感じだけど慣れさえすれば問題無し。むしろ難関は部族名、そして地名・都市名だと思うけど、それも頻出する単語は嫌でも馴染んでくるし世界史好きならばともかく騙されたと思って一度読んでみてもらいたい。

以下、個人的ポイントを箇条書き…
・カエサルがスーパーヒーロー。味方のピンチに颯爽と駆けつけ縦横に軍略を巡らし敵を撃破していく爽快感。
・副将のティトゥス・ラビエーヌスもかっこいい。何でもこなすスーパーサブ。良将。
・エブロネース族のアンビオリクスは相当なクズ。後味も悪い。
・「すぐ怒る野蛮な乱暴な人」(p57)と評されるゲルマーニー人の王・アリオウィストゥスは強者の風格だけど散々な目に遭う。
・ヘタレ過ぎて名前が残ってしまったローマの偵察兵「コンシディウス」(p47)。
・「ゲルマーニー人は〜(中略)〜いちばん長く童貞を守っていたものが絶讃される。その童貞を守ることによって身長ものび体力や神経が強くなるものと思っている。」(p232、233)そうなのか。
・「クローディウス」(p251)あなたはどちら様でしょうか…何度読み返しても名が見当たらず検索に時間を取られましたが索引に解説あり、あっさり解決。

かなり唐突にスンッと終わるので拍子抜けするかもしれないが、読了感は満足のひとこと。続編の『内乱記』も手に入れたい。


84刷
2024.1.11

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月11日
読了日 : 2024年1月9日
本棚登録日 : 2024年1月9日

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