ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap) (Think Map 4)
- 技術評論社 (2010年3月12日発売)
■ゲームデザイン脳 ★★★★☆
面白いゲーム、奇抜なゲーム、またやりたいと思うゲーム、
それらのゲームには幾重にも張り巡らされた製作者の罠がしかけられている。
これはゲームの世界の話ではない。
ゲームだけの世界の話でもない。
映画だって、サーカス見てたって、デパートの前に立っているだけでも、
消費者はいつだって狙われている。
あなたの制作物には、あなたの意図がありますか?と説いてくれます。
(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○理由は僕自身がその類のゲームが下手で、制作したとしても
最終的なバランス調整に自信がもてないことが明らかだからだ。(P.34-35)
○僕の企画では、目標とする面白さを再現するシステムがまず骨組みとしてあり、
それを活かすためにキャラクター、世界設定、
シナリオが後付けされるという流れに注目してほしい。(P.39)
○企画のプロならこの質問に対して、筋道を立てて考えれば百、一時間という限定なら三十、
それくらいの数は具体的なエピソードなりシーンを思いつくだろう。
普通の人なら三つか四つ、多くて五つだ。(P.42)
○曰く「サーカスを一度観ただけで一般人はこんなこと気づきませんよ。
読者がこれならできそうだと”勘違いする”ようなことを書いてもらわないと……
本が売れません。」(P.55)
○メジャーなタイトルほど構成はシンプルだし、
多くの人が心を動かすシーンも一致している。
おそらくよく使われる状況設定は百パターンもない。
一つひとつの部品を検証すれば、特に目を見張るものもない。
ほとんどホメロスかイソップかシェイクスピアあたりが性能を確定している既存の部品だ。
それでも、ダイハードもローマの休日もスターウォーズも大ウケした。(P.59)
○本節では、ここまでたったの五十行だが、実際には二年くらいかかっている。(P.76)
○敵も味方も戦闘力が歪あるいは階段状に上昇している。
これらが複合すると、プレイの仕方によりいつどこで現れるか限定できないが、
ゲーム中のどこかで何度も戦闘力の上昇が停滞したり、逆に急上昇する時間帯が現れる。
停滞した時期には一族のキャラクターは戦闘で敗北しやすく、
急上昇する時期にはパチスロのフィーバータイムのごとき快進撃が続く。
結果として「親の仇を子供が討つ」状況も高確率で生じる。(P.81)
○(算数が苦手な人のためにいちおう書いておくと、
一時間プレイしても十人にひとりしか起きない偶然も、
二十時間プレイして一度も起きない確率は一%。百人のうち九十九人が経験する)(P.81)
○ゲームというメディアでは、テーマをシナリオで語るのではなく、
目に見えないシステムやバランスをコントロールすることで
プレイヤーの体験を通して伝えることもできる。(P.82)
○演出も「術の併せ」にひとり加わるたびにシ♪レ♪ソ♪と重なりきれいな和音になる。
術の発動時は全員が片手を点に揚げる同じポーズをとる。
手順、音、見た目で家族の協力や一体感を表し、
効果の大きさでその重要さを伝えている。(P.85)
○想像できるだろうか、「ポケモンみたいに」という
言葉で説明できない未知の概念を既存の言葉で伝える苦労を。
ニュートンの偉大さは、万有引力の発見ではなく、
それをリンゴひとつで説明できたことじゃないかと真剣に考えたほど悩んだ。(P.89)
○一番差を少なく見積もった人が「0.5秒差がつく」、
逆に多かった人が「1.5秒差がつく」だったなら、7%~21%が振り幅の許容範囲。
少なくとも7%は上がらないと自分がやったことが報われたと納得できないし、
21%超えて上がるようなら虫が良すぎると感じる。
そんな風に置き換えて考えられる。(P.107)
(補足:オレシカの遺伝のゲームデザインするときに、どうやって成長率を見込むか考え、
いろんな人にカールルイスの息子に自身の息子が挑んだら、
50メートルそうで何秒くらい差がつくと思うかという質問をしたらしい。)
○自分の意志が即座にテレビ画面の中に反映されるというのは、
想像もできない衝撃だった。(P.155)
(補足:昔の単純なテレビゲームが当時なぜ面白かったかという理由について)
○テレビゲーム向きのネタとは、
”趣の異なる前向きなジレンマが適度なストレスを伴って、
適当な頻度で繰り返しプレイヤーに提示され
意思決定の結果によって、状況が変わりえる構造を有する事象”だ。(P.158)
(補足:ようするに、あーしたいこーしたいけど、
こうしちゃおうとあれがあれでと悩む楽しさと結果が付いてくることが大事)
- 感想投稿日 : 2017年6月5日
- 読了日 : 2017年6月5日
- 本棚登録日 : 2017年6月5日
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