しろいろの街の、その骨の体温の (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2015年7月7日発売)
4.00
  • (369)
  • (390)
  • (206)
  • (61)
  • (13)
本棚登録 : 5715
感想 : 415
4

スクールカーストの上と下。
自分だって”上”ではないのに、自分より”下”の子は見下してしまう……。
いつの時代にもどこの学校にもあるんだろうなぁ。

もっと軽いノリで読めるかと思っていたら、想像(期待)以上に重くて心揺さぶられました。
自分の中学時代を思い起こして頭がクラクラしたほどです。
私から見れば主人公結佳はまだまだ”イケてる”子で、私自身は信子ちゃんや馬堀さんみたいな立場でした。
信子ちゃんほど強くもなかったけれど。

誰とでも分け隔てなく接する伊吹君。
彼のような”幸せさん”は私の周りに居なかったと思います。
居たとしても毒にも薬にもならず印象に残らないでしょうね。
結佳がクラスメイトの”上”の男子からあからさまにからかわれていてるのを目撃してもかばうわけでもなく、飄々と彼らを「いい奴だよ」と言い切り結佳を救うどころかむしろ余計に追い詰めてる。
伊吹君のそういう無邪気すぎるところには好感が持てませんでした。

私も散々投げつけられた「ブス」「きもい」「死ね」の言葉たちを、結佳がすべて受け入れつつ自分の価値観を持って前向きに進むラストは清々しさを感じました。
案外、20年後には結佳や信子ちゃんみたいな子の方が一般的な女性並みに結婚して子供も産んだりして、平凡ながら幸せに暮らしていたりするんでしょうね。
そして”上”だった子はブイブイ言わせていた中学時代ほどぱっとした人生を送っていなかったり……。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年8月17日
読了日 : 2015年8月17日
本棚登録日 : 2015年8月17日

みんなの感想をみる

ツイートする