消すのが惜しかったもう一つの作品。原作未読。
すごく最近な気がしてたが2012年の作品。そりゃ出演者の風貌も変わってるわけだ。
現在(といってももう7年前だけど)の高校生活の断片が盛り込まれた映画。時代も違ければ、環境も全く違う高校時代を送った私でも感じるリアリティがあった。(山本美月のケバさ、鈴木伸之の怒号、やたら手が出る所は別として)職員室をはじめ、学校の空気、先生の雰囲気。おっさん風の高校生(前野朋哉)、半笑いで「やめなよ〜」というウザいシュシュ女子高生(松岡茉優)とか。
描かれる高校での重要人物桐山が部活を辞めることによってその周りの揺らぎが描かれている。現在のスクールカーストについては分からないけど、同じような仲間との毎日が卒業まで変わらず続いて行くと漠然と信じて過ごしていく生活が、そんなことはない、ひとつ状況が変われば一変してしまうあやうさの中にいるという意味では今も昔も変わらないのであろうか。一番まともにその揺らぎをくらったのが東出くん(とその仲間)で、対照的に自分の好き(将来的なものにつながるとかとはまた別)とか確固としたものを持ってそれに打ち込める人間はどこにいても強い。ドラフトが終わるまで部活を続ける野球部キャプテンや映画部とか。面白く観た。
出てくる俳優では、橋本愛の可愛さ絶品。神木くん、大後ちゃんさすが。恋愛描写は、大後ちゃんの方の一途さはあの時代特有とはいえ、一方的なものなので苦手。偶然が重なって(神木くんは知らないけれど)少し話せたくらいで舞い上がって事実を知って苦さを噛みしめる(葡萄が目にしみる©︎林真理子)神木くんの方が親しみを覚える。
最後の東出くんと神木くんの対峙はそのまま俳優とこの監督の対話と感じた。神木くんは子役からのベテランらしく普通も今回のような地味も自然に演じられる(きっと本人は早くから業界にいる今時の男性だと思う)。東出くんは演技はおいておいて、顔も私にしてみれば「濃っ!」ではあるけど、しみじみと画面を持たす人だと思う。絵になる。夕暮れのシルエット、街並みにいる所。そういう意味では逸材なんだろう。あとは私が東出くんが熱く演技論を語っている所をチラとでも見なければいいのだ。まぁそういう無謀、無防備さ、天然も含めて面白い人だともいえる。
- 感想投稿日 : 2019年4月11日
- 読了日 : 2019年3月30日
- 本棚登録日 : 2019年3月30日
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