読後感もよく、爽やかな雰囲気で、終始癒やされるような気持ちで読む進むことができました。
ただ、あまりにも爽やかすぎて―具体的に言うと、主役の2人が良い人すぎて、どこか現実離れしすぎるように感じられてしまったのも事実です。
もちろん、ファンタジーというのは判っているので、舞台や設定がということではなく、人物があまりに清廉で、もうちょっと非人間的な部分というか、ドロドとしたものがあっても良いのかな、と。彼等なりの葛藤はそれぞれあったことは作中にちゃんと描かれているし、理解はできるものの、いまひとつ読者にまで伝わってこない。私はそんな印象を受けました。
身寄りのない郁は身売りを無理にさせられていたところ、美しい鬼の青年に助けられ、隠界に連れてこられます。一年中、常春であり白梅が咲き誇るその世界は、人が暮らす現世とは隔てられています。
その美しい世界観といい、よく練り込まれたストーリーといい、素敵だなと思いました。
何より、先ほども言ったように主役の2人がとても善い人なところがホッとします。
なので、その善い人の「善悪」のどちらをも感じられたなら、更に良かったと思います。
良い作品だと思いつつ、読むのには時間が随分とかかってしまいました。
「良い」と「面白い」というのは違うんだなーと、今回、勉強にもなりました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年9月8日
- 読了日 : 2017年9月8日
- 本棚登録日 : 2017年9月8日
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