2011年に中東諸国で起こった「アラブの春」について。現在進行形。
ある程度の知識(近い国なら毎日のニュースを見ていればわかる程度)を前提に書かれているから、例えば十年後に日本の子が読んでも何がなにやらわからないんじゃないかと思う。
日本でもそれなりにニュースを見ればアラブの春という言葉くらいは耳にしたけれど、3月以降の報道はそれどころじゃなかったから空気を共有できてない。
著者はモロッコ出身、フランスで活動する作家。
その場に居るわけではないけれど完全に欧米でもない、当事者に近い立場からの声。
で、作家としてのアプローチだからドキュメンタリーやジャーナリズムとは違う口調で物語られる。
実在の人の考えを想像で書いてしまうのは、私は好きじゃない。
ただ、ノンフィクションとして読むならダメな書き方だけど、これは「主張」であり「発言」だから、私が楽しめる読み物にしなさいってのも違う。
感情の言葉は感情的であるべきだけど、感情によって立つ言葉は背景を踏まえて(前提を共有して)読ませなければ曲解の余地を生んでしまう。
感情の言葉を違う場所に持っていくと、正しく読むことが難しくなる。
私のいる場所からは地理的にも心情的にも文化的にも距離があって、ここにとどくまでにメッセージが変質してしまう気がする。
(ねじまげた受け止め方をしてしまうんじゃないかと懸念する)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史(人・出来事・点)
- 感想投稿日 : 2012年1月26日
- 読了日 : 2012年1月27日
- 本棚登録日 : 2012年1月26日
みんなの感想をみる