タイトルだけ見て,一つの決断をする上でどうやって他の選択肢を振り払うかというところについて掘り下げている内容なのかなと思い,深く考えずに入手したが,実際の内容はもっと広く浅くで,著者の思考ルーチンやものごと(当然将棋が中心だが)に対する姿勢についての「語録集」といったところであった(そもそもが「羽生善治の思考」という本の再編とのこと).
私はそれまで著者の考えについて知るところはほとんど無かったが,これを読んだ限り,彼はとにかく「自身が将棋が好きだ」というところに疑いを挟む余地がなく,それが苦難を厭わず続ける原動力になり,そのまま強さに繋がっているという印象を受けた.
ここで説いているところとしては,攻撃は最大の防御という一言に集約できそうであり,とにかく積極的に打って出ることを模索し考え続けよ,というのは,著者が本書でも自称している「主導権を取りに行くタイプ」の棋風とよく符合している.その上で,難局を打開するためには,揺るがない自信を持てるところについてはそれを変えずに貫く勇気を,一方で特に未知の局面なり,勝ちが続いて妙な安心感に安住してきているような状況なりでは,今まで得てきているものを一度脇へどけてものを捉える勇気を,それぞれ持つ必要があると,そのように私には読めた.
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文庫・新書・単行本 - 思想哲学
- 感想投稿日 : 2017年1月2日
- 読了日 : 2017年1月2日
- 本棚登録日 : 2017年1月2日
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