既存のイメージを連結させながら、自然発生的に綴られる禅問答のようなやりとりが延々と続く。それに飽きないのは、不意に現れる奇怪な、しばしばパロディックなオブジェクトの存在であったり、おそらく作者が飽きた瞬間に放棄される状況の変化などがあるからだ。
チャパーエフというのは実在した人物だそうだ。それどころか、ピョートルやアンナ、その他の重要な登場人物も、人々の間で語られたり、アネクドートとして定着していたりするものらしい。つまりペレーヴィンはロシアに用意された整った材料を使って、明確な方法論をもって小説を書いたということだ。実に面白い仕事だっただろうと思われる。
そういう土壌があるロシアという土地が、この一面だけとってみれば羨ましくもある。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
図書館
- 感想投稿日 : 2019年7月13日
- 読了日 : 2019年7月13日
- 本棚登録日 : 2019年7月13日
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