うーん・・・HUNTER×HUNTERが傑作たるゆえんは、ミッションや戦闘における戦略性・ゲーム性の複雑さとその豊かなバリエーションにあると思うのだが、この劇場版は戦闘シーンが単純すぎて(オーラの強弱で勝負が決しているだけ)、醍醐味がまったく失われていた。ヒソカが無双すぎて、それで終わり。この作品でHUNTER×HUNTERをはじめて体験する人には、オーラをめぐるあれこれはまったく分からないだろうし、このマンガの魅力も伝わらないだろう。
では戦闘シーンでなく、ストーリーに厚みが持たせられているかというと、そうでもない。敵ボス役のオモカゲが悪事に手を染めていくに至る背景についての描写も甘く、たんに浅はかで卑劣なヤツ、くらいの描き方になってしまっているのが残念。また、「ほんとうを生きるってなんだろう」との問いそのものは成立しうると思うけれど、人形との戦いを経たうえでの暫定的な解答が「自分らしく生きる」「目の前の目標に向かって突き進む」というのは・・・いかがなものか。そんな安易で子供だましなものに収まってしまうくらいなら、「そんなのよく分からないや」みたいに無回答で終わったり人間愛を説いたりするほうがまだマシだと思う。
原作の連載再開がさらに待ち遠しくなってしまった。
読書状況:読み終わった
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DVD
- 感想投稿日 : 2013年9月5日
- 読了日 : 2013年9月5日
- 本棚登録日 : 2013年9月5日
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