舞台は元禄時代、江戸の下町。
上方へ旅立つ幼なじみの庄吉に想いを告げられた17歳のおせんは、胸を焦がしながら「待っているわ」と答えた。その後、江戸に残されたおせんを地震や火事、水害などが次々と襲い、おせんは頼るべき人々も失う。うち続く不幸の中で、彼女を奮い立たせたのは庄吉との約束だったが、一方でそれは呪縛ともなっておせんを苦しめていた。
傍目からは「それは違うよおせんちゃん」と言いたくなることばかりなのだが、なにしろ一途でひたむきさが売りのおせんちゃんなので、おかげで随分と酷い目に遭ってしまうのである。そしてかわいそうな幸太と自分勝手で非情な庄吉…。
「むかしも今も」は、愚直な職人直吉の、愚直な人生を描く。
こちらも傍目からは「甘すぎるよ直吉~」と言いたくなることばかりなのだが、できた人間は最後には報われる、ということか。直吉の周りにもいい人ばかりで、人情たっぷりでございます。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
山本周五郎
- 感想投稿日 : 2012年9月26日
- 読了日 : 2001年4月4日
- 本棚登録日 : 2012年5月5日
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