「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい―――正義という共同幻想がもたらす本当の危機

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  • ダイヤモンド社 (2013年8月23日発売)
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 「推定無罪の原則」や「残酷な刑罰を禁じる」憲法や世界人権宣言・・・その他の諸権利を獲得するまでに世界中で流された血と、その時間を考えれば、死刑制度や日本のマスコミの犯罪報道に違和感を感じるのは当然であろう。その違和感の正体を著者は考え抜いていく。紹介されるノルウェーの現実はすごい。ノルウェーには死刑も終身刑も無期懲役もない。望めば刑務所内で大学教育まで受けることが出来、出所の際には住居と仕事が提供される。11年71月のオスロの政府庁舎の爆破、郊外の島で起きた銃乱射事件を経てもなお、死刑の復活や厳罰化を望む声はないのだという。「罪を憎んで、人を憎まず」ということか。これもまた、人類が到達した地平なんだけど・・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思想
感想投稿日 : 2014年2月2日
読了日 : 2014年1月26日
本棚登録日 : 2014年2月2日

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