少し前の時代を読むと男性作家が男女関係を書いたものが目立つ気がして、女性作家は何を書くのか気になって手に取った。
読んでみると題の通り、小説ではなく日記だった。ひたすらに飢えていた。読むうちに、当初知りたかった男女観よりも制作の実際に興味が湧いた。
「食事のあと、静かに腹這い童話を書く。いくつでも出来そうな気がして仲々書けない」
「詩や小説を書くと云う事は、会社勤めのようなものじゃありませんのよと心の中でぶつくさ云いわけしている」
そして、音楽。
「私は風呂の中であこまでつかって口笛を吹く。知っているうたをみんな吹いてみる。しまいには出たら目な節で吹く。出たら目な節の方がよっぽど感じが出て、しみじみと哀しくなって来る」
「自由に作曲が出来たら、こんな意味をうたいたい」
その作曲を、およそ100年後の見知らぬ人間がしました。だいぶ遅くなってしまったけど、もしこの譜面がそこから見えるなら筆者にうたってほしい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年1月21日
- 読了日 : 2021年1月17日
- 本棚登録日 : 2020年12月20日
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