徒然ノ冬-居眠り磐音江戸双紙(43) (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2013年6月13日発売)
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本棚登録 : 512
感想 : 54
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前作で田沼一派の攻撃により毒矢を受けた霧子と、彼女を見守りなんとか正気を取り戻そうとする磐音たちの懸命の努力と祈りから物語は始まる。

どちらかというといいとこなしの武左衛門がなかなかいい味を出しているし、利次郎の愛情と優しさが温まるし、磐音たちの結束や絆が描かれた一作だった。
長寿シリーズになると脇役端役にも味が出てくるものだけれど、本作もまさにその通りで、さまざまな登場人物たちの人生が、物語の本筋から時々逸れつつも色どりになっていていい。

それにしても、田沼一派と緊迫した関係は続いても和気あいあいと仲の良い江戸坂崎道場の面々に引き比べて、かわいそうなのは磐音の元許嫁の奈緒だ。
藩騒動に巻き込まれて実家は断絶、家族のために遊女となり、吉原の太夫に昇りつめて山形のお大尽に見初められて落籍されたと思いきや先だってはその夫が巻き込まれる紅花騒動が起き、そして今度はこれか・・・と、艱難辛苦も極まれり、で、作者が用意した境遇が不憫でならない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エンターテイメント!
感想投稿日 : 2021年4月4日
読了日 : 2021年4月4日
本棚登録日 : 2021年4月4日

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