長い映画は嫌いなんだけど、これは長さを忘れて見入ってしまったのを覚えています。
日本映画で長さを忘れさせてくれるなんて、とてもレア。
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2016/4/16 鑑賞
最初っから最後まで引き込まれて見ました。
失礼ながら、永作博美さんがやたらに人気がある理由が分からない…とずっと思っていたけれど、この映画ですっかり納得。すごく良かった。
物語は前半と後半でテーマが違っていて、前半は女の中にある狂気の数々(←1つではないところがミソ)を描いていますが、後半はまるで交響曲が楽章ごとに曲調を変えるみたいにガラリとトーンを変えて、誰かに全身全霊をかけて愛されるということが一体どういうことなのか、が描かれています。
その2つの印象があまりに違うせいか、見終った時、どっち寄りの感想を持てばいいのか少しとまどってしまい、若干モヤモヤします。
でも、文句なくおもしろかったです。
前半は、出てくる女、出てくる女、みんなが何かしら問題を抱えていて、少し狂っている、という設定。
どう考えてもみんな普通じゃないのだけれど、なぜか彼女たちの「狂気」の部分は自分の中にもあるかもしれないな、と思わされる。
私は登場人物の誰とも似ていないのに、彼らの狂気にそんな風に普遍性を感じてしまうなんてすごいなと思った。
後半は、ただただ美しくてはかなくて切ないです。
小さい頃に、親から愛されて育つということがどんなにすごいことか、それは物質的豊かさを凌駕し、恐怖やトラウマや何もかもに打ち勝つくらいの力を持つんだということが描かれています。
心から人を愛するということは、人を根底から揺るがすくらいにすごいのだということ、ただ愛するだけでいいんだ、ということを思い出させられました。
ということで、映画はとてもおもしろかったのだけど、でも内容が内容だけに、原作まで読みたいとは思わなかった。大前提の設定があまりにも理不尽で。
- 感想投稿日 : 2022年9月6日
- 読了日 : 2016年4月16日
- 本棚登録日 : 2022年9月6日
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