最初、摂食障害の女の子が主人公のありふれたしょーもない青春小説かと決めつけて、あまり乗れないままだらだら読んでいた。しかし、2章のあたりから驚きの展開に。

お兄ちゃんの特殊能力が予想のナナメ上だった!
おじいさんと主人公の特殊能力は似た系列なのに、お兄ちゃんの能力は全く異質で、かなり違和感。でも、続きが気になって途中からイッキ読み。
お兄ちゃんの設定があまりにも想定外過ぎて、私はかなり最後の方になるまで、お兄ちゃんは心の病が進行し過ぎて、ズボンに穴開けて椅子の脚をその穴から通すという奇行に走っている人なんだと思ってたわ・・・(その設定だったとしても、けっこうおもしろかったと思うけど)

あと、お父さんの性格がなかなかリアルでおもしろいと思った。
体育会系の男性でこういう人、実際に割といる気がする。非常にシンプルなポリシーを順守して生きているリアリストタイプ。自分の設定した目標以外はよそ見しない人。
小説の中では、お父さんはある意味困った人として描かれていたような気がするけど(そうでもないのかもしれないけど)、私は非常に好感を持った。お母さんより断然ステキ。
特に私が年とってきたせいか、ごちゃごちゃと細部にこだわって、他人にいろいろと配慮を求めてくる面倒くさいタイプの人が純粋に面倒くさいの!
昔はそういう人もおもしろくて好きだったんだけど。
このお父さんみたいに、内面はいろいろ複雑でも、自分ひとりで完結していて、他人に対してはシンプルなことしか求めないし、本人の方も無駄に人に配慮もしない人が楽で良いわ・・・。

英文は非常にシンプルで、辞書いらず。難易度は高校の教科書レベルなので、多読には良いと思う。
この変な話が万人におもしろいかどうかは分からないけど。

2024年5月1日

読書状況 読み終わった [2024年5月1日]
カテゴリ 小説(海外)

ずいぶん前、本やネットのスピリチュアルな話を読み漁っていた頃に、図書館で借りて読んで気に入って、自分で持っていたいなと思っていたところ、ブックオフで見かけて買った本。でも買ってからはほとんど開いてなかった。

先日、実家に久しぶりに帰省して、妹所有の『七つ屋志のぶの宝石匣』の続きから今出ている巻までをイッキ読みし、読み終わってしまった後の若干のロスな気分をひきずりながら自分の家に戻ってきて、もう少し石の世界に浸りたい気分でこの本を開いた。読み始めたら止まらなくなって、ぜんぶ再読。
と言っても半分は石の情報なので、読み物の部分はそんなに多くないのだけど。

沖縄で営業していた頃のユタさんとか霊力のあるお客さんとの石をめぐる不思議な話がとってもおもしろい。

霊力を開くことを目的に石を買い求めようとする人たちに対して、「私も人を見る仕事ですので、ある程度、(霊力が)開く人かそうでない人かは、経験上分かるものです」と妹さんが書かれているが、どうしてそんなことが分かるのかしらね。不思議。
迷信とか非科学的なことを嫌う人は馬鹿にしそうな話だけど、私はそういう話が大好き。

後半のパワーストーンの解説部分もとてもおもしろい。
石について普通の説明だけじゃなくて、「波動の特徴」の記載があるのがとってもユニーク。
石の波動が女性的な性質なのか、男性的な性質なのか、ということと、癖がない石なのか、それとも個性が強くて持つ人を選ぶ石なのか、が一目で分かるようになっている。

私は見えないし感じないし、まあはっきり言ってなんの科学的根拠もない記述なんだけど、カラーストーンの手引書として他に類のないものなので、大変に気に入ってます。この部分を読むだけでおもしろい。

なぜかこの1年、御徒町の某ショップの天然石のピアスを買いまくったので(たぶんコロナ引きこもり明けの反動)、これと、学研の図鑑シリーズ『美しい鉱物~レアメタルから宝石まで鉱物の基本がわかる!』とを併読して、ピアスライフをもっと楽しもうっと。
この学研の方は石についてのごく普通の(スピリチュアルなことは一切書いてないという意味で、普通の)ミニ図鑑ですが、でも写真が素敵でコンパクトで、ところどころおもしろいコラムなんかも差し挟まっていて、大変な良書です。
この二書で、『志のぶ』の現行巻を読み終わって続きを待つ間の寂しさを慰めたいと思う。

2024年4月23日

読書状況 読み終わった [2024年4月23日]
カテゴリ スピリチュアル

同じ著者の「科学的な適職」がとても良かったので、こちらも読んでみた。
こっちもなかなか良かった。
この人の対象へのアプローチ方法と、簡潔だけど分かりやすくて丁寧な文章はとても好感度が高い。価値観が同じだなと感じる。

テーマは体調に関することだけれど、結局のところ「科学的な適職」同様、「あなたが幸せになるための方法」を探ることがこの本の真のテーマ。

非常におもしろいなと思ったのは、「畏怖」の念を感じる頻度が高い人ほど幸福度が高い、というメタデータ結果。
その発想はなかった! ビックリ!
でも事実かもしれない。
私は日常で「おもしろい」と思うことが多いほど幸せを感じる方だけれど、それって結局は「畏怖」の念だと思うなぁ。対象は人でも、空間でも、仕事でも何でもよくて、とにかく「すごい」「素敵」と思う気持ち。

ほかにもいろいろと参考になりました。
根拠が科学的に示されているのも、この本の(この著者の本の)良いところですね。

2024年4月21日

読書状況 読み終わった [2024年4月21日]
カテゴリ 自己啓発

いやー、おもしろかった!
ダーク・ファンタジー、と思って見ていたけど、ジャンル的には一応コメディって位置づけなんですね。
皆さん、大人ですな。私は修行が足りないのか子供なのか、笑うより震えあがった。ある種のホラー映画を見るような意識で観ていた。

人間というのは、自分より劣ると思っている人間に対しては、恐ろしいほどに冷酷になれるし、逆に上の人間に対しては人によってはプライドないの?と思うくらい平然とこびへつらったりできるけれど(そういう行いを実際に目撃することもある)、この映画ではそれが私の意表をつく形で描かれていておもしろかった。夜の散歩でアビゲイルがあぜ道に突き飛ばされるシーンとか。のしあがるための手段の数々とか。

身分制度がはっきりと規定されていて、誰もが道徳的な教育を受けられるわけではなかった時代においては、人の冷酷さはこんなもんじゃなかったのかもしれないと思うと震える。
でも、なんだろう、見ている私の感情は嫌悪感よりも違うものが優勢。これはある種の敬意・・・・?
ある意味、今の私にはプライドやら自意識やらが邪魔してできないことをやすやすとやっとてのけているように見えるキャラクター達。
すごく自分に正直。というか、サバイバルのためにはそうするしかないんだけど。

日本の平安時代の貴族たちもまさにこんな感じだったんじゃないかなぁ。
代々の藤原氏が言いがかりとも言えるような理由やら何やらをでっちあげてライバルを蹴落としていく様子はまさに。
っていうか、設定はどの国でも、どの時代でも、現代でも、どこでも、いつでも、キャラクターや味付けを変えていろんな形でこういう物語って描けそう。そして、どれもそれぞれにおもしろそう、と思ってしまった。ハッピーエンドにも、バッドエンドにも、いかようにもできそう。

この映画では、だれもかれもが不幸そうで、勝者がいないように見えて、モヤモヤしたもの(不幸さが呼び込むモヤモヤ)がどんどん煮詰まっていって終わる。くらくらした。

2024年4月13日

読書状況 観終わった [2024年4月13日]
カテゴリ 映画(海外)

Amazonプライムで無料だったので、「科学的」というところに興味を覚えて読んでみた。
ちょうどまたまた夫の転勤で職探しをしなくてはいけなかったので。

いや、これは「ビジネス書グランプリ」(って何か知らんけど)受賞も納得でしょう!
すばらしい本でした。
別に転職や就職活動の予定がない人にもおすすめ。
特に職場の環境に大きな影響を与えるポジションの人(管理職とか)は読むべきなんじゃないかなぁ。

あるいは、「幸福」って何?っていう抽象的な疑問について考えたい人にもおすすめです。
「幸福」なんていう概念は人それぞれで、心っていう「つかみどころのないもの」に根差しているものかなと思うけど、それを実に科学的に検証し、はっきりと目に見える形でとらえられるよう手助けする本、という感じでした。
本は仕事の幸福に特化して書かれているけれど、検証チェックポイントはいろんなことに応用できるんじゃないかなと思う。

読みとばすつもりで無料で読んだけど、手元に置いて、迷ったり新しいことをするときなんかに読み返したいなと思ってしまった。

2024年4月13日

読書状況 読み終わった [2024年4月13日]
カテゴリ How-To

大ヒットした映画で、何を見ても、ものすごい高評価。
特に中高年にエライ人気、って聞いていたので、期待いっぱいで見た。

私にはマーケティングの才能がないんだと思う。どうしてこれが人気なのかサッパリ理解できなかった。

おもしろくなかったわけじゃないです。後半は普通に手に汗握ってどきどきしちゃったし。
でも、ツッコミどころあり過ぎでしょう。
敵国って、イランのイメージなのかしら。
勝手に領土に飛んで行って、施設とか破壊しちゃっていいのー? そんなのありなの? 勝手に侵入しておいて、相手国のパイロットどんどん殺しちゃってるし。
かるーく「敵」とか言っちゃってて、その単純化が怖い。

初老の男と盛りを過ぎた女性(私はジェニファー・コネリー大っ好きですが)の恋愛っていうのが同じ世代にきゅんきゅん来たのかしら。私はやれやれ、としか思わなかったけど。
しかも恋愛のスタイルは、完全にティーンエイジャー。バイクにタンデムとか、家族に見つからないようにこそこそとか、普通の青春映画の王道過ぎて、老カップルの「老」の部分につい目が行ってしまう。

いずれにせよ、この映画の何が人々の心をつかんでいるのかまったく謎。何回も観る人が多いとか、ほんとなのかしら・・・。理解できない。

2024年4月12日

読書状況 観終わった [2024年4月12日]
カテゴリ 映画(海外)

おもしろいかおもしろくないかというエンタメ重視の観点で評価するなら、正直に言ってかなりビミョーな映画なんだけど、でも、どうしても星を5つつけたい気分なので、つけちゃう。
この星は、金子さんに向けた5つ星なんだろうか。自分でも分かんない。

「プログラムを書かせてください! 2行でいいんです、2行あれば、Winnyの脆弱性を修正できるんです!」と必死で訴える金子さんのセリフ(←記憶で書いているので、正確じゃないかも)が見終わった今も頭の中をずーっとぐるぐる回っている。

金子さんが例えばアメリカ人だったら、こんな風に才能をドブに捨てさせられるようなこともなく、ずっと元気でいられたんだろうか、と考えずにはいられなかった。見終わった今も重苦しい気持ちが続いている。
だって、この起訴はどう考えても変だよね。誰かがナイフで人を刺したからって、そのナイフを作った人が罪に問われるなんて。

少し前に見たビットコインの創始者サトシ・ナカモトを探すドキュメンタリー番組(NHKだったかな? すごくおもしろい番組だった)が印象に残っている。
金子さんもサトシ・ナカモトではないかと言われている一人だけれど、その番組では、金子さんはサトシ・ナカモトではない、と結論づけられていて、その理由がWinnyのプログラムの一部はビットコインにも応用可能なのだが、ビットコインではもう少し洗練度の低い技術が使われていて、もしも金子さんがサトシ・ナカモトであれば、プログラムをそのままにしておけるはずがない、というものだった。
なるほど、と思った。とても説得力がある。

この映画で描かれていた金子さんのキャラは、裁判のニュース映像などを通して見た金子さんの姿から私が想像していたのと全然違っていて、完全にオタク(おしゃべり系)で、ちょっとびっくりした。ほんとにあんな性格だったの?と親しい人に確かめたいくらいイメージと違っていた!
おかげで、余計に悲しい気持ちになった。あんなに浮世離れした人だったなら、ほんと大変だっただろうなと胸が痛んだ。

Winnyから情報が流出したという事件が報道されるたび、2ちゃんねるなどでは「使うてはならぬとあれほど」などという定型文でおもしろおかしく議論されていたが、金子さんが逮捕されたとき、2ちゃんねらー達が裁判費用のためにお金を寄付していたと映画であって、ビックリした。
みんな、不当だと思って何かしたかったんだろうな~。
ちょっとホロリ。

お亡くなりになったと聞いたときは本当に驚いた。
とにかく残念な事件です。どうしてこんなことが?とただそればかり。

2024年4月6日

読書状況 読み終わった [2024年4月6日]
カテゴリ 映画(邦画)

湿地の風景は、私が本を読みながら想像したよりはるかに美しかった。
これが映画化の良いところ。いつもどんな映画でも、映画の美術スタッフは私の想像をはるかに超える仕事ぶり。

ストーリーは、まあ本を読んだときの印象のとおりかな。
少し現実離れしているので、いろいろつっこみどころあり。本と同じく。

あんな小さい頃に人里離れた家に一人で暮らして育ったら、カイヤは衛生的にもっとバッチイ子になっていたと思うし、家ももっとボロボロになってただろうし、大人になるにつれ悪い男どもに食い物にされていたと思うけど、映画では女優さんはやたら美しく、家もかなり素敵で、年頃の女の子なのに怖い目にも遭わず平和だった。
ま、ファンタジーです。

2024年4月4日

読書状況 観終わった [2024年4月4日]
カテゴリ 映画(海外)

おもしろくなかったわけじゃないけど、なんか「うわ、めんどくさい人だなぁ・・・」と思った。
今ハヤリの「繊細さん」ってやつですね。「本好きである」ということが、自分にとって一番かつ最大のアイデンティティの人にこういうタイプが多い気がするなぁ。
こういう人たちって、非常に面倒くさいこと考えている割に、それを人に伝えることは完全に放棄していたりして、さらに面倒くさいことになっている気がするんだけど、この人は割と伝えようとしているかなと思った。

パン屋の本屋、って日暮里にある本屋のことかな?
あの本屋はとてもいい本屋だと思ったけど、違うのかな。

2024年3月17日

読書状況 読み終わった [2024年3月17日]
カテゴリ 自伝・伝記

おもしろかった。
これを就活時に読んでいたら、私はどうしただろうか。
今思えば、私はこの本の著者が絶対NGとしている態度で就活して、ただのラッキーと偶然が重なって、とても素敵で自分にぴったりの会社に就職したけれど、この本を読んでいたら、違う会社を選んだだろうか。分からない。読まなくて逆に良かったのかもしれない。
でも、私の場合はただラッキーだっただけなので、就活生はきっと読んだ方がいいと思う。

あと、最初の1年は本当にキツかった記憶があるけれど(今思えば何がキツかったのか全然わからないくらい甘い環境だったのにもかかわらず、です)、以下の文章は大きく頷いた。私も働く前に聞きたかったな。
「社会人デビューとは何か? それまでの集団ではそれなりにできていた自分が、新しい集団の中では一番できない人間になること、とも言えるのではないだろうか。心の準備と覚悟がいるのは、そのギャップが巻き起こす衝撃と不安と苦しさに対してではなかろうか。むしろ雑草育ちの私よりも、高偏差値の学校を勝ち抜いて来た学業秀才の人であればあるほどギャップは大きいだろう。」

著者の「苦しかったときの話」は、想像をはるかに超えて、本当に苦しい話だった。あれを自力で乗り越えられる人はなかなかいないんじゃないかなぁ。ものすごく尊敬した。私だったら会社やめてすごすご日本に帰ってる。またはバカにされたまま、同僚たちにこびへつらっているかも。本当にすごい。なんて素敵なんだ。

しかし、就活を前にした娘がお父さんからこんなメッセージ頂いちゃう、っていう状況が、うちの家族とあまりに違い過ぎて、まったく想像できない。私が娘だったら、どうリアクションしたんだろうか。いやもうまったく想像できない。
「大草原の小さな家」を現代に持ってきたらこういう形になるんだろうか。お父さんがとっても頼りになるという意味で。

2024年3月17日

読書状況 読み終わった [2024年3月17日]

全然乗れなくて、読み終わるのに3カ月くらい(!)かかってしまった。自分でもビックリ。
最後の最後の本当に最後の3章くらいで「ほほう」と思う箇所があったけれども。
もしかしたら私はトニ・モリスンの「Beloved」をトラウマ的に引きずっていて、他のUndergroundについての小説は生ぬるく感じちゃうのかもしれないですね。

まったく乗れずに終わった感じだけれど、唯一印象に残ったのは、白人のプランテーションの若い女主人Corrine Quinnについての描写。彼女は地下鉄道を取り仕切っていて、普通に考えて「奴隷サイドに立つ善人」として描かれそうなんだけれど、そうはならず、彼らはやっぱり白人側の人間で、彼らの正義は黒人が奴隷制に対して感じていることとはまったく別次元のものであると分析されている。彼らの闘いは、自分の中の善が侵されそうになるのを守るため、自分の信念が地に堕ちるのを防ぐためであって、黒人に対して深い同情を感じているわけでもなければ同じ人間だと思っているわけでもない、みたいなことが書かれていて、かなり辛辣。でもきっと、正しいんだろうな、と思った。別に白人が悪いわけではなく、被害者の気持ちを理解するのはそういう立場になったことのない人間には至難だということだろうか。
あるいは、人種間の溝というのは、理念や論理ではどうしようもないところに根付いているということなのかも。このあたりは読む人に判断を任せるところなんだろうけれど。

2024年3月16日

読書状況 読み終わった [2024年3月16日]
カテゴリ 小説(海外)

長い映画だったけど、おもしろかった。
そして、悲しかった。
リンチとか拷問とかほんとやめて。悲し過ぎる。
こういう映画を見ると毎回思うけど、どうしてそんなひどいことができるんだろう。私が恵まれ過ぎていて、そう思うだけ?
違う環境に生まれていたら、私にもそんなひどいことができるんだろうか。

デンゼル・ワシントン、一時期ものすごい売れっ子で何にでも出ていた印象があるけれど、当時はそんなに素敵と思わなかった。
でも、今改めて見ると、レッド・オクトーバーでもペリカン文書でも思ったけど、落ち着いた物腰と話し方がとっても素敵。どうして今まで素敵と思わなかったのかしら。不思議。かなり好み。

アパルトヘイト下に限らず、歴史を見ると、あらゆる状況で闘う人たちが殺されている。〇千人が殺された、などと数字で聞いても、そうか、そうなんだ、と淡々と受け止めるだけなんだけれど、その数字が何千、何万ではなく、たったの「1」でも、それが家族だったり愛する人だったりすると、耐えられない苦痛をもたらす。映画を見ると、そうだった、数字の多さなんて関係ないんだ、たとえ1だとしても、こんなにも辛いんだ、ということを教えられる。

2024年3月16日

読書状況 観終わった [2024年3月16日]
カテゴリ 映画(海外)

会社の素敵Guyおすすめの書で、この本の内容への興味からというよりは、おすすめしている人への興味から読んだのだが、めっちゃくちゃおもしろかった!
大変な良書。さすが素敵Guy。素敵すぎて目がハートになったわ!(ま、彼の前ではいつもなんだけど)

忙し過ぎて感想を書く暇がなく、読んでから時間がたっているので、忘れちゃっている部分もあるのだけど、この本は一つだけじゃなく、複数の違うテーマを扱っていた気がする。(例によって図書館本なので、今、手元になく、記憶で書いているのだけど)

特に後半に書かれていたことは現代人が知っておいた方が良い「基礎知識」なんじゃないかなと思った。
あなたの個人情報が、あなたのアイデンティティが、あなたの感情が、どのようにネット上で発信され、それがどのように利用され、時には悪用され、時にはビッグデータとして力を持ち、世の中に大きく影響を与えていたりする。
善悪という二元論では語れない話で、個人では手に負えないという意味で、恐ろしいと思うと同時に、もはやインターネットやSNSがなくなることはないんだから、私たちは否が応でもこうしたシステムと付き合わなくてはならないんだなぁと思った。

こういうこと、学校で教えるべきことじゃないのかな。道徳とかのしょーもない時間を削って。このタイトルどおりの「人を動かすナラティブ」ってタイトルで。あるいはインターネットとの付き合い方、というテーマのクラスの一部でもよいかもしれない。

読んでからすっかり時間がたっていて、何がおもしろかったのか忘れちゃっていて、当時のメモを読み直したが、全部フレッシュにおもしろかった。そのうちのほんの一部をご紹介。

"そもそも私たちの脳には意識と無意識があり、この無意識が果たす役割が意外に大きいということだ。車の運転に喩えれば、意識が運転席にいて無意識が助手席にいると思われがちだが、現実には運転席にいるのが無意識で、意識は助手席に座っているに近いという。無意識が下した判断を、意識が「合理化する。意識が無意識より先じゃないっていうことは、毎日生きていると分かる。いつの間にか眠っているし、起きている」"

"「いいね」の傾向を分析すると、高い確率でユーザーの性的指向や政治的思考、性格、幸福度、依存傾向、家庭環境、信仰などが一定程度予測できることが分かった。彼らはその結果を2013年発表の論文「個人の性格と属性は、人間のデジタル上の行動記録から予測可能」で報告した。 またスティルウィル氏らは別の論文「コンピューターは人格分析で人間を追い越した」で、ある人のFBの「いいね」を10個分析するとその人の職場の同僚より、150個でその家族より、300個で配偶者より正確にその人の性格や嗜好、考え方を把握できるという実験結果を報告した。
この論文は世界の政治家、軍事関係者、広告関係者らに大きな意識革命をもたらした。「いいね」はユーザーの「アバター(分身)」そのものだとの認識を世界に広め、大衆心理の捜査をもくろむすべての関係者らがSNSに熱視線を向けるきっかけとなった。”

"「昨今の紛争は、国際社会の支持を得るためのナラティブの戦いだ。国際社会はそれを踏まえたうえで、自分たちの判断が紛争当事国のナラティブに影響され過ぎないように気をつけなければならない。紛争当事者のうち、資源や力、さまざまなコネクションを持つものが高い道徳意識やモラルを維持しているとは限らない。紛争をしっかりと観察し、人権の侵害が行なわれていないかを監視し、どちらかの側について紛争をあおったりたきつけたりするのではなく、和平を結ぶ方法はないかと探求し続ける必要がある」多くの教示を含んだ言葉である。"

最後の引用は、非常に含蓄に富んでいて素晴らしいですね。エネルギー問題...

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2024年3月11日

読書状況 読み終わった [2024年3月11日]

おおっ!これは! というのは意外に少なかった。残念。
でも、こうして気の利いたラインばかりをまとめて読むと、チャンドラーは村上春樹氏の原点なんだなぁ、というのがよくわかりますね。かなりそのまんまというか、春樹氏はコピーと言ってもいいんじゃないかと思うくらいに似ているというか。

そうか、村上春樹氏も自分だけの力でハルキ・ムラカミになったのではないのだな、と思った。

しかし、
「こっちはくたくたなんだ。君が差し出してくれたものについては感謝している。私なんかがいただくには立派過ぎるものだ」
なーんて好意を持っている男から言われた日には・・・
普通に「すいません、疲れ過ぎていて、お役には立てません」とダサく断ってくれた方がよほど優しいと思うわ!

2024年2月24日

読書状況 読み終わった [2024年2月24日]
カテゴリ ファンブック

本屋で見かけるたびに、この本ほしい、でも、こんな専門的な本、絶対私には宝の持ち腐れよね・・・などと考え、棚に戻すことかれこれ数年。
内臓、ホルモン、もつ、大好きなんですよね。でも、自分で料理するのはレバーがせいいっぱいで、それもいつもレバニラ炒めオンリー。
お店でも、焼き鳥、ホルモン、もつ鍋、あとはせいぜい居酒屋のもつ煮込みくらいしか食べたことなくて、フレンチでは食べたことがなく、興味しんしん。

けっこう高い本だし、本のことはあきらめて、せめて一度、お店で食べてみようと思い立ち、先日、中目黒のお店に予約を入れて食べてきた。(←夫の誕生日という名目で、自分の食べたいものを食べる人)

ま、まいうー!!!!!!

全部、おいしかった。ワインが進む~。
トリップ(店のメニューボードにはなぜかイタリア語でトリッパと書いてあった。日本語だとハチノス)のトマト煮込みくらいなら、私もできるかも・・・・
他の内臓も、めちゃくちゃ気になる・・・・
いや、読み物として全部読みたい・・・・

こうして、熱に浮かされたようになり、とうとうポチってしまいましたよ、この本。
そして、今、なめるように読んでいるところ。
買って良かったと心から思います。
すごくおもしろいの!
ゴーストライターのレベルがとても高い。非常に読ませます。

今読んだ限りでは、腎臓とか脳みそとかは私の手に負えないけど、トリップとギアラなら私でも何とか扱えそう。
お店で食べたメニューのレシピもある! アバジュレすごくおいしかったけど、私にも作れそうで驚く。

ぜひとも良いお肉屋さんを探そう、と思った。
まだ全部読み切ってないけど、ほんと良書よ。このクオリティなら、決して高くないです。おすすめ。

読書状況 いま読んでる
カテゴリ 料理

これは良書。
著者(医師)がおすすめする食材とその調理法について、科学的な根拠などとともに解説。
ぜんぶとっても身近で簡単に手にはいる食品で、もう今日にでも始められちゃうのが良い。しかも説得力あり。

さっそくキャベツと蜂蜜ともち麦買ってきた。(玉ねぎと酢、オリーブオイルとニンニクは常備してあるので)
えーと、あとはハナビラタケと梅干とチアシードはネットでゲットします!

ちょうどビル・ゲイツ氏が腸内細菌の最新研究について書いたGATES NOTESを読んで、おおお、腸内細菌ってすごいんだなぁ、と思っていたところだったので、とってもタイムリーだった。
(「GATES NOTES」はビル・ゲイツさんのLinkedInのニュースレターページ。正確には、アフリカ諸国の幼児の栄養失調の問題と腸内細菌の関係について書いておられました。けっこう感動するので、ぜひ多くの人に読んでほしい。ネットで無料で読めます。↓
https://www.gatesnotes.com/The-Year-Ahead-2024
ちょっと長いんですが、後半の「A long-awaited malnutrition breakthrough is almost here.」以降に、幼児の栄養失調は、単に不足している栄養を与えれば解決するというような簡単な問題ではない、という最新研究について書かれています)

この本のおすすめメニューを今日からさっそく取り入れて、この醜いおなかポッコリをぜひとも解消するのだ~!
面倒くさがりな私がいつになくやる気まんまんよ! 頑張ります!

2024年2月24日

読書状況 読み終わった [2024年2月24日]
カテゴリ 解説本

タイトルから、中高年がネットのトンデモ系掲示板の書き込みに影響される愚かさについておもしろおかしく書いた笑える話なんだろうと思って興味を持ったのだが、予想とはまったく違っていて、とてもシリアスな内容で驚いた。

エッセイというよりは私小説に近い感じ。

断絶したまま父を看取ったことへの悔恨の念などが細かくつづられている。その気持ちに真摯に向き合い、父という人間を改めて客観評価し、こじれた関係性を分析・昇華していく過程がつづられているのだが、一貫して暗いトーンで、私はあまり共感するものがなかった。

私にとっては親の愚かさについてはもうとっくの昔に(中学生くらいの頃に)自己解決してしまった問題なので、親との関係にそこまで心悩ませる気持ちが単に理解できないだけかも。
同様の状況にいる人にはきっと心に響くのではないかと思います。

2024年2月18日

読書状況 読み終わった [2024年2月18日]

最初の船上の漁のシーンから一気に引き込まれて、あっという間にエンディング。良かった。

ろうあ者が、ただの社会的弱者として描かれるのではなく、自立し、人生をエンジョイしている様子なのがとても良かった。

でも、主人公は今の流行り言葉で言うなら、いわゆる「ヤング・ケアラー」で、この物語のラストは一応ハッピーエンドなんだけれど、現実世界に数多いるであろう人生の袋小路にいる子供たちを思って激しく胸が痛んだ。

社会はこうした子供たちに対して何ができるんでしょうね?
考えこまずにはいられなかった。

2024年2月10日

読書状況 観終わった [2024年2月10日]
カテゴリ 映画(海外)

録画するつもりなんかさらさらなかったのに何か間違って録画されていたのだが、「ん? まあいいか」と見てみた。久しぶりのジャッキー・チェン。

い、痛い。痛いよう・・・
見ている間中、それしか考えられなかった。

子供のころに見ていた時は、まったく何も感じなかったジャッキー映画に欠かせないアクションシーンだが、ワイヤーアクション&CGを見慣れた今となっては「そこまで体張らなくてもいいのに~」と見てられなかった。
絶対これ、出演者みんな傷だらけだと思うなぁ。
死人が出ててもおかしくない。

話じたいはおもしろかったです。
第一次世界大戦前のあたりが時代設定だと思うけど、二つの大戦の前、20世紀初頭を時代設定にした話が個人的に大好きで。インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説なんかも戦前の話だけど、なんていうか時代に勢いがあって、何でもありでおもしろい。衣装も良かった。

ジャッキー・チェンが演じる役はいつもだいたい一緒だけど(でも飽きないし、それでいいんです)、今回、見ていて「武田鉄矢の刑事物語もこんな感じのこんなキャラだったな~」と思った。
しかし、ジャッキー・チェンの真の後継者は、トム・クルーズだと思う。体張って頑張ってるって点で。

2024年2月2日

読書状況 観終わった [2024年2月2日]
カテゴリ 映画(海外)

Amazonの高評価にビックリ。

非現実的過ぎて、私はちょっと・・・

どんな楽器も初めて触るその日から完璧に弾きこなせるのは100歩譲ってありとしましょう。
しかし、楽譜を見たこともなかった少年が、音階について5分ほど教えてもらったその日にいきなり楽譜に曲を書くって、いくらなんでもないわ~。

あと、二度と会えなくなるかもしれないのに、父親の命令に従って好きな男に会うのをあきらめた女性が、周囲の反対や社会的常識を押し切って、その会わなかった男の子供を産もうとしたりするかね?
そんな強い女だったら、最初から父親を振り切って会いに行ってたと思うなぁ。周囲の反対を押し切って一人で子供を産んで育てる決意をするって相当な意志が必要だよ~。

あと、バンドのボーカルやってるお父さんの歌がけっこう下手で、歌うたびに「あれ?」っていう違和感があった。

ただ、母親役の女性を演じた女優さんはかわいかったな。

2024年1月6日

読書状況 観終わった [2024年1月6日]
カテゴリ 映画(海外)

読んだ人のコメントには「おもしろくてイッキ読みしちゃった(はーと)」的なのが多い。まじか。

私は異常なまでに読むのに時間がかかったわ。読み始めたのは確かお正月くらいだったから、約1カ月?
物理の小難しい話が始まったとたん、まぶたが重くなっちゃって、進まないったらなかった。

この小説は、ガチ理系の人と、文系のアホな子(=私のことよ、もちろん)とでは、感想がまったく違ってくるんじゃないかな。おもしろいと思う箇所も、おそらく両者では違うと思う。とにかく、この本の荒唐無稽さを楽しもうと思ったら、おバカじゃダメよ!
私はたぶんこの本の作者が「おもしろいだろ」と投げてきたものの3割くらいしか理解してないんじゃないかしら。

葉文潔の過去の部分、特に子供を産んでからの村のパートが私には心底おもしろかったが、そこはこの本の本質では全然ないと思う。
最後の訳者のあとがきを読んで、その部分は作者のリアル人生に近いものだったんだと知って驚愕した。だから、あんなにリアリティある描写だったんだ、と思った。
文潔を訪ねてきた子供たちのキラキラ輝く瞳と吐く白い息が私にも触れられそうな気がするほどリアルで印象的だったよ。

私にはこのシーンは美しく丹念に描かれたお伽話みたいに思えたけれど、著者にとっては生の記憶に近いものなのかな。
やっぱり、中国は近くて遠い国だなぁ。
お金持ちな人が恐ろしいほど多くなっている国だけど、今もこの本の村人たちと同じような暮らしをしている人がそのままいそうで、その極端な二極性がちょっと怖い。

最後の、陽子を低次元に展開していくところ、たぶん作者はおもしろがって書いていたんだと思うけど(そして理系の人にはおもしろいのかもしれないけど)、私にしてみれば、「ああ、あとちょっとで終わりなのに、全然終わらんよぅ~」と日照りの砂漠の行軍みたいにひぃひぃ言いながら読んだ。
最後にイッキに疲れたわよ! もう!

ただ、今まで、5次元以上の世界が私は全然理解できなかったんだけど、その部分とかタバコのフィルターの例えのところを読んで、ほんのちょっとだけ理解が進んだ(気がした)。ま、ちょっとだけだけどね。

他の人のコメントを読むと、虫けらについての史強の言葉に感銘を受けている人が多いようだったけど、私はそれよりも、エヴァンズの父親の
「海鳥がいなくなっても、われわれは生きていけるが、石油はそうはいかない。石油がなくなった世界を想像できるか? 去年の誕生日、おまえにプレゼントしたあのきれいなフェラーリを思い出せ」
の方が、胸にずしんときた。まあ、今、世界は石油の利用をなくそうと頑張っているところだから、想像くらいならできるようにはなってきてるんですけどね。

そのセリフを吐いた父親の遺産分割の方法も驚かされて、印象に残っている。でも、上記のセリフと全然矛盾しているように感じない。むしろしっくりきて、ついでにエヴァンスという人間の深みが感じられた。
ガチ理系的内容はよー分からんかったが、こういう鋭い人間観察みたいなところがところどころに差し挟まっているあたりも、この本が世界でベストセラーとなった理由の一端をなしているのかもしれませんね。あくまでも人気の理由のメインではないとは思うけれど。

本の内容とは関係ないんだけど、3人の訳者が名前を連ねているのに、そのうちの一人があとがきで「他の二人の訳も参照したけど、そのまま使えた文はなかった。ほぼすべて俺の訳だから、そこんとこヨロシク」的に語っていることに驚愕した。
謙虚な日本人にあるまじき言いぐさ。笑
最初に中国語版から訳した他の二人に対して、読んでるこっちが気を遣っちゃったわよ! いくらなんでもそりゃないんじゃない?と思った。

2024年1月27日

読書状況 読み終わった [2024年1月27日]
カテゴリ 小説(海外)

2019年の映画『メイキング・オブ・モータウン』があまりにおもしろくて、年末の暇な時期に音楽好きのMy Bossに一方的に感想をまくしたてていたら、彼はこっちの方のDVDを持っていて、年明けに貸してくれた。

こっちもとてもおもしろかった。
そもそも音楽業界の映画は、ドキュメンタリーだろうと実話をもとにしたフィクションだろうとまったくの創作だろうと、全部好きだけど。

どっちか選べと言われたら、メイキング・オブ・モータウンの方がよりまとまっていて、かつ、創業者で語り手のベリーの話術が最高なので、あっちをおすすめするけど。

きっと、この映画(「永遠のモータウン」)に対する会社(当時表にいた人たち?)の公式な回答が「メイキング・オブ・モータウン」なんじゃないかな。
この映画は、「モータウン」が生み出した多くのヒット曲にとても重要な役割を果たしたにもかかわらず、完全に影のまま終わった人たちの業績をしっかりと伝えているけど、でもそれはやっぱりモータウンのすべてじゃないと思うし、逆もまたしかり。
両方見てやっと全貌が見えてくるというか、両方の力があってのモータウンだったんだなぁと思った。

でも、先に影の方の映画(この映画)ができちゃったことは、きっと表側にいた人たちにとっては不満だったんじゃないかな。否定はしないまでも、それがすべてと思われてしまうことには忸怩たる思いもあったのでは。
…と両方を見た今、なんとなくそんな風なことを感じた。

大勢で作り出す創作物に対しては、音楽に限らず、映画やTVドラマや漫画なども、きっとそういう「Standing in the shadow」な人たちって絶対大勢いるよね! クレジットには出てこないけれども、確実に作品に影響を与えた人たち。
そういう人たちにスポットが当てるのって現実的にはけっこう難しいと思うだけに、この映画が成し遂げたことは素晴らしいと思う。

しかし、クリエイティブな人たちが互いに刺激し合って、すごいものを作り出していく瞬間っていうのは、再現映像だろうとトークを通してだろうと何だろうと、熱が伝わってきますね。なんだか聞いている(見ている)私までが、胸の奥からふつふつと何か湧いてくる気がする。

ちなみに、ジョーン・オズボーンがこの映画でカバーした「What becomes of the broken hearted」は、この映画で新たにカバーされたとは知らなかったので驚いた。モータウンの曲と知らずに、一時期とても気に入って聴いていたのだが、サウンドの感じがやっぱり60~70年代っぽいので、ウッドストックで演奏された曲の一つあたりなんだろうと勝手に決めつけてた。
そもそもジョーン・オズボーンは意外に(失礼!)若くて、全然ウッドストック世代の人じゃなかった。(欧米人の年ってほんと分かんない)
久しぶりに聴いたけど、やっぱ好きだな~。確かにモータウンっぽい。

だけど、もう一つの映画用のカバー曲、チャカ・カーンの歌う「What't going on」は、微妙に音程がオリジナルと違ってて、マーヴィン・ゲイの方を聴き慣れている身としては、気持ち悪かった。オリジナルの方がだんぜん好き。

2024年1月6日

読書状況 観終わった [2024年1月6日]

世の中には、「学校では教えてくれないけど、分かっていた方がいいこと」が多すぎると思いませんか。まったくもう。

この本、「エネルギーに興味あるんだったら、読むといい」と素敵Guyに勧められ、いや、特にエネルギーに興味あるわけじゃないんですケド・・・と思いつつも、近所の図書館にちょうどあったし、正月休みに入るところで読む時間もあるしで、素直に言いつけに従い、読んでみた。

で、最初の言葉になるわけです。
エネルギーの地図、つまりエネルギーをめぐる各国の戦略、めっちゃくちゃ大事じゃないですか? 世界情勢を読み解く上で。
え? 今ごろ何言ってるって?

こういうのはちゃんと学校で教えるべきじゃないでしょうかね。
世界の紛争の裏に資源あり、てことを、もう少ししっかりと。世界の国々は人道的・政治的な理由だけで戦争したり他国に干渉したりするわけじゃないんですよって。
歴史の時間ちょっと削ってもいい気がするなぁ~。
たとえばシェール革命が他国との外交交渉上の姿勢をこんなにも変えちゃうなんて、やっぱり知っておくべきよね。

ダイベストメントがこれまでに削減したGHG排出量は、おそらくおよそ0トンだろう、っていうビル・ゲイツの言葉もけっこう考えさせられた。
石油の値段が下がり過ぎると困る原理とか、シェールがショートサイクル、とかいうエネルギーごとの産出事情とかも何気に重要情報ではないでしょうか。

モディ首相の言葉「グローバルサプライチェーンはコストだけにもとづくべきではありません。信頼にももとづくべきです」と言って、中国依存を減らそうとしているのもなるほど、と思ったし。

「電気自動車はガソリン車の6倍、風力タービンは天然ガスの発電所の9倍、それぞれ多く鉱物を使用する。鉱物の需要は急増するだろう。その増加率はリチウムが4300%、コバルトとニッケルが2500% にものぼる」「世界の三大産油国の産油量が世界の産油量に占める割合は約30%だが、リチウムの場合、上位3ヵ国が供給量の80%以上を占める」っていう鉱物をめぐる状況も、なんだかヒエエエエな事実でした。

そしてアップデートも大事。
気候テックをめぐる投資と政治関連のニュースなんて、この本の後、今年(じゃなかった、もう去年か)1年だけでずいぶんいろいろあった気がする。
でも、表のニュースを見ているだけじゃ、なかなかそれぞれの事象が頭の中でつながらないので、こういう親切な解説本をときどき読むって大事ですね。

2024年1月1日

読書状況 読み終わった [2024年1月1日]

特に期待もなく見始めたのですが、めっちゃくちゃおもしろかった!
何がおもしろいって、モータウン創業者のベリー・ゴーディ氏のおしゃべりがめちゃくちゃ楽しいの。
独特のリズムがあって、ユーモアたっぷりで、明るくて。
当時の関係者たちの語る初期の頃のモータウンの雰囲気はきっとこの人のキャラクターが大いに影響してたんだろうなって思いながら見ていた。
職場の雰囲気ってリーダーのキャラクターがなんとなく反映されますよね~。

そして、ノンフィクションなのに驚くほど起承転結があってまとまっていて、フィクションみたいな完成度のストーリーだった。
最初はベリー・ゴーディに才能を見出され、それぞれの持ち味を彼からうまく引き出されて作り出されていた音楽だったけど、いつの間にかどんどんやりたいことが広がっていて、会社が求める枠をはるかに超えてしまう・・・。
見ていてガンダムかよーと思ってしまった。
最初は操作マニュアル見ながら必死でガンダムを操作していたアムロだけど、やがてはその能力を開花させてガンダムの方がアムロについていけなくなっちゃうっていう。

とにかく当時のモータウンは刺激的で楽しかった、というのがすごく伝わってきた。
今だと、勢いのあるスタートアップで働く人たちなんかがこういう雰囲気の会社で頑張っているのかもなぁ、と思ってうらやましく見ていた私です。

最後の方、「What's going on」のエピソードはぐっときたなぁ。久々に聴いたけど、今聴いても新しく聞こえる。

この映画はモータウンの光の部分だけをすくい取った形になっていて、とにかく楽しい映画です。モータウンのもう一つの顔を描いた「永遠のモータウン」を見た今、きっと実際はいろいろあったんだろうなぁ、と思うけれども。

2023年12月26日

読書状況 観終わった [2023年12月26日]
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