この物語は、主人公の幼稚園教諭の夏美23歳と、その恋人のカメラマンを目指す大学の写真科に通う慎吾がバイクで千葉の房総の山奥の古びた雑貨屋の「たけ屋」でトイレを借りたことから、84歳のヤスばあちゃんと彼女の息子で体が不自由な62歳の息子の恵三さん(地蔵さん)と知り合い、その年の夏中、二人が「たけ屋」の離れを借りて過ごすことになったことから始まります。
夏美と慎吾は川で蛍を初めて見ます。
そして、うなぎやどじょう、沢ガニを獲って食べたり、沢ガニは一匹だけ夏美がペットにして飼っちゃったり、他にもウグイ、オイカワ、コイ、フナ、エビ、セリ、ミツバ、クレソン、山菜などその場で全部とって食べたり、のんびりとした田畑の風景も広がっています。
作者あとがきによると、これは作者の森沢さんも同じようなことを体験されたからこそ描けたことらしいです。
そして食卓を毎日四人で囲み話にも花が咲きますが、そこで夏美と慎吾は地蔵さんから、どうして妻子と別れたのか、ヤスばあちゃんも知らない本当の話を聞きます。
そして、中盤、思いもよらない展開になります。
なんで、こういう展開になるのかなあ!!ひどい!!とその時は思いましたが、最後まで読むととても温かな涙のでるお話でした。
サブキャラクターとして最初と最後に登場する、仏像師の榊山雲月さん、他の人たちも、皆いい人たちばかりの好感のもてるお話でした。
解説にもありますが、ページをめくる度に確かにサプライズ続きの感動のストーリーでした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2020年6月13日
- 読了日 : 2020年6月13日
- 本棚登録日 : 2020年5月29日
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