ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2011年3月25日発売)
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本棚登録 : 26046
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このシリーズは、かなり以前に書店に行くと、一番よく見える平台に山積みにされていたのをよく見かけましたが、その時は表紙の絵が漫画だったので、少年少女向けかと思いあまり、気にしていませんでした。でも最近ビブリオミステリーにはまり、フォロワーさんのレビューも拝見し、読んでみたら1話ごとに本が1冊以上登場する大変好みの作品でした。続きがたくさんあるので楽しめそうです。

第一話 夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)
大船にある「ごうら食堂」の一人息子、五浦大輔23歳は過去のトラウマから本の読めない体質であるが、亡くなった祖母の持っていた古本、夏目漱石『第八巻 それから」に「夏目漱石 田中嘉雄様へ」とサインが入っているのに気づき鎌倉にある古書店ビブリオ古書堂に持ち込み病院に入院中の店長、篠川栞子にサインの真偽と本の値段の鑑定をしてもらいます。栞子は、見事に推理をし、サイン本の謎を解き、大輔はビブリア古書堂で働くことになります。

第二話 小山清『落穂拾い・聖アンデルセン』(新潮文庫)
志田という、古書店で安く売られている本を買って高く転売する人たちである「せどり屋」から高校生の少女が『落穂拾い・聖アンデルセン』を盗む話。これも栞子が見事に解決。最後は栞子の機転で志田と少女、奈緒の心が通じ合います。小山清という名は初めて知りましたが、『落穂拾い』の中の一節「なにかの役にたつといふことを抜きにして、僕たちがお互ひに必要とし合ふ間柄になれたらどんなにいいことだらう」という一節には魅かれました。

第三話ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)
銀行強盗の前科があり自分の話ができない男、坂口昌志とその若い妻で、元キャバレー勤めで自分の話しかできない、しのぶの夫婦の絆の話。お互いの愛情劇が栞子の病室で繰り広げられました。栞子はまたしてもすべてを看破しており、最後に大輔に自分が「石段から突き落とされて怪我をして、その犯人を捜している」ことを打ち明けます。

第四話太宰治『晩年』(砂子書房)
栞子を石段から突き落した男は熱烈な太宰治ファンで、アンカット、帯付き、署名入り、初版で「自身モテ生キヨ 生キトシ 生クルモノ スベテ コレ 罪ノ子 ナレバ」と書き添えられている太宰治の350万円相当の『晩年』を奪おうとしてやったことでした。栞子はおびき出してその男を捕らえる作戦を考えますが…。
最後は栞子の真の目論見を大輔が言い当て大輔と犯人との意外な接点も判明します。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 本
感想投稿日 : 2020年1月11日
読了日 : 2020年1月11日
本棚登録日 : 2019年12月23日

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コメント 3件

moboyokohamaさんのコメント
2020/01/11

楽しい日常ミステリーですね。
TVドラマでは剛力彩芽さんが、映画では黒木華さんが栞子さん。
どちらも魅力的です。

まことさんのコメント
2020/01/11

kangon69さん♪こんばんは。
気楽に読めて、古書店や、古書についても詳しくなれる、ほのぼのミステリーです♬
7巻までもう、登録しましたよ~(*^^*)
お薦めです。

まことさんのコメント
2020/01/11

moboyokohamaかわぞえさん♪こんばんは。
コメントありがとうございます。
TVや映画にもなっていたんですね♬
知らなかったです。
私のイメージでは栞子さんは黒木華さんの方かな?

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