発売されてすぐ、ハードカバーを買ったのにもう一度読みたいと思い出し、本棚をいくらさがしてもなかったので、文庫で買いなおして、再読しました。(ハードカバーは、その後本棚のてっぺんで発見して悔しかった)
短編が10作入っていますが、好きなシーンや文章に付箋を貼りながら読んでいたら、付箋が一番多かったのが、「うんとお腹をすかせてきてね」と「十日間の死」。何かこの二つに共通点はと考えてみたら主人公が若いこと。
私は大人の恋愛話の不倫系がどうもあんまり得意ではないです。
あまたいらっしゃる作家さんの中では江國さんのものは読みやすい部類に入いりますが。
言ってることは、以前読んだ時よりわかりました。
(18年も前だし)
江國さんがあとがきで、「人生は勿論泳ぐのに安全でも、適切でもないわけですが、彼女たちが蜜のような一瞬をたしかに生きたということを、それは誰の人生にも起こらなかったということだということを、そのことの強烈さと、それからも続いていく生活の果てしなさと共に、小説のうしろにひそませることができていたら嬉しいです。(中略)瞬間の集積が時間であり、時間の集積が人生であるならば、私はやっぱり瞬間を信じたい。SAFFでもSUITABLEでもない人生で、長期展望にどんな意味があるでしょうか。私もまた、彼女たちの一人なのでした」とおっしゃっておられますが、こんな私でもできるものであれば、そうありたいものだと、強く願わずにはいられませんでした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
江國香織 小説 短編集
- 感想投稿日 : 2019年1月12日
- 読了日 : 2019年1月12日
- 本棚登録日 : 2019年1月12日
みんなの感想をみる