これも、ヤマザキマリさんの本棚にあったので読みました。
明治36年に生まれ昭和26年まで生きた林芙美子の三部からなる日記と詩です。
(P530より)
死んじまいなよ。何で生きてるんだよ。
何年生きたって同じことだよ。お前はどうだ?
生きていたい。死にたくはござらぬぞ…。
少しは色気も吸いたいし、飯もぞんぶんに
食いたいのです。
十二、三歳のころから下女、女中、カフェーの女給として働き女学校には自分の稼ぎで通い、十七、八歳のころから、義父と母に仕送りをしなければならず、毎日の食べる者にも困窮する生活を送りながら詩と日記を書いています。
まだ、二十歳にしてはずいぶんと大人びていると思いました。大人にならざるを得なかったのでしょうね。
いくら貧しくても本は読みたい、詩や小説は書きたいという貪欲な、向上心には撃たれました。
私が同じ立場だったらとっくの昔に野垂れ死んでいると思いました。
林芙美子には強靭な精神力、生きる力があったからこそ、この作品は出版され日の目をみて読み継がれているのだろうなと思いました。
十七歳で独りイタリアに留学されたヤマザキマリさんもその姿をおそらく御自身に重ねて読まれたのだろうと思いました。
(ページ数不明)
私には本当は古里なんて、どこでもいいのだと思う。苦しみや楽しみの中にそだっていったところが古里なんですもの。
だから、この『放浪記』も旅の古里をなつかしがっているところが非常に多い。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2023年2月4日
- 読了日 : 2023年2月4日
- 本棚登録日 : 2023年2月4日
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