伊藤計劃の遺したプロローグに、円城塔がその後を続けた作品。
それを意識してしまうと、企画ものとして読むのか、一つの作品として読むのか、どうしても雑念が湧いてしまう。
章が進むにつれ明らかに円城塔化してゆく文体、「ハーモニー」(第一章)、「虐殺器官」(第二章)、「メタルギアソリッド」(第三章)との意識的と思える類似性。フィクションからの人物の借用は果たしてどちらの意図なのか? などなど、考え始めるときりがない。
ところが、第三章、事件の真相が明らかになり始めると、そんなことは全く気にならなくなる。なんという到達地点、なんという虚無。これは完全に伊藤計劃のものだ。「虐殺器官」「ハーモニー」のその先を見せてくれたと思う。
不完全さは数々あるけれど、これを出版にこぎつけたこの企画と、円城塔氏にはホントにお礼を言いたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年9月6日
- 読了日 : 2012年9月6日
- 本棚登録日 : 2012年9月6日
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