すごく肉厚な物語だった。
人類初の友人火星探査プロジェクトの飛行士(主人公)たちの宇宙船内での数々のトラブル、それが想像もしていなかったものだけどよく考えたらありえるというかまぁ深刻な課題で。
一方、アメリカで定着してるディヴィジュアル(分人)という概念や東アフリカ戦争と企業倫理という現代にもある問題(舞台設定は2037年)がとても緻密に描かれている。
概念的であるはずのものがここまで具体化した世界というのは私個人としては理想的であると思った。
さまざまなディヴィジュアルを抱えつつも、どうしてもインディヴィジュアルとして逃れられない性質の問題も真正面から捉えていて、それが内面のみの葛藤だったらどういうロジックでももっていけそうなんだけど、そういう方向に持っていかずに一人一票を有する「大統領選挙」という現実を通して描かれていたことに物語としての迫力を感じた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2011年7月10日
- 読了日 : 2011年7月10日
- 本棚登録日 : 2011年7月10日
みんなの感想をみる