アフリカやブラジルなどの貧困を救済する小さな組織を立ち上げ奮闘している著者が、貧しさの本質、救うことの難しさを懇々と綴っている。
支援物資をしっかりと届け、適切に運用してもらうことの難しさ、それを解決しないことにはいくら多額の現金や物資が集まっても貧困は解消されない。
印象的だったのは日本の貧しさについて。日本では世界の貧しい子供たちのためにいらなくなった服や靴を寄付する組織があったりしますよね、でも実際現地に届いている服の荷物をほどいてみると、現地の子供が着られるようなものはほとんど入っていない。どういうことかというと、ピアノの発表会とか親戚の集まりなんかに着せていくちょっと良い子供服みたいなものしか入っていない。ようはヒラヒラのドレスとかそういうの。現地の子供たちはそんなもの着る機会がない。欲しいのはTシャツとかジャージとかだけど、そういうものはほとんど入っていないらしい。寄付した親としては「せっかくこんな高い服買ったのに数回しか着れなかった。捨てるのもったいないから寄付しよう」ぐらいの軽い感じだったのだろう。この想像力の貧しさ。と曽野さんは嘆いていた。
でも私は基本的に遠くの国の貧しさよりも日本みたいな先進国でも貧しくなってしまう現代的な貧困のほうに興味があるからあまり日本を豊かさの象徴みたいに引き合いに出してほしくはないんだけどね。何かそれとこれとは別という気がするし。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション・ルポ
- 感想投稿日 : 2015年4月23日
- 読了日 : 2015年4月23日
- 本棚登録日 : 2015年4月23日
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