帰郷: 刑事・鳴沢了 (中公文庫 と 25-5)

著者 :
  • 中央公論新社 (2006年2月1日発売)
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本棚登録 : 975
感想 : 64
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悲しきメンヘラの自殺祭りに、男たちの嫉妬や負の感情を盛り込んだ鬱々とした作品だったけど

一巻の新人君の成長した姿や、鳴沢さんが長年確執のあった父親をやっと理解し、精神的に成長して勇樹の「父親」になったりと光の部分もあった

羽鳥の優しさは結局のところ中途半端だったのだろう
中途半端に関わって、中途半端に優しくするくらいなら本人を現実に向き合わせたほうがよかったのかもしれない
庇いたくなる気持ちも大いに理解できるけど、正解ではなかった
一人で真実抱え込んで中途半端に支援するより、警察に真実を明かして、外部の人にも鷹取の処遇や精神的なケアなどを託すべきだった
遺された彼は今後、選択に後悔するのか、自分の間違いにも気づかないのか。。

また、鳴沢さんのお父さんが真実に踏み込めてたならどうなってたのか。。
鷹取の性根も境遇も多少は救いのあるものだったのか
でもこのお父さん、大事なところで「甘い」からなぁ
祖父の件もそうだけど

内容のせいで鬱々とした読後感はあるけど、読み応えのある素晴らしい作品だった!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中央公論新社 中公文庫
感想投稿日 : 2020年2月8日
読了日 : 2020年2月8日
本棚登録日 : 2020年2月8日

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