加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)

著者 :
  • 幻冬舎 (2010年11月27日発売)
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排他的で偏見に満ちた思想、鬱屈した社会のストレスの捌け口、日本人の心の余裕のなさを感じた。
アメリカでは高校で銃乱射事件をおこした犯人の母親の元に電話やダンボール2箱分の手紙が届き、その内容はどれも加害者遺族を激励するものだったそうである。
日本も見習うべき、とまでは言わないが、国民性でここまで違うと言うのは非常に興味深い。
殺人事件で旦那が逮捕され、小学校低学年の息子を守るため、転校を繰り返させなければならない妻。友達にさよならを言わせることすらできない。
最後に学校を見たいと言った息子を真夜中の小学校の校庭で遊ばせる描写に心が痛んだ。
また、家族間で殺人が起こった場合には加害者、被害者両方の家族になってしまうという。夫が借金を苦に自殺を図ったが、失敗して植物状態となった。維持するには一日に30万円かかる。絶望する妻に夫の母は何も心配しなくていいと言い、そして、実の息子を殺害した。本書で主に挙げられている凶悪犯罪とは違う重苦しさがあった。
ただ、もうひとつ思うのだが、本書で挙げられた加害者家族はどれもひどく反省して、世の中からの批判を当然のものとして、自分を責める、という家族ばかりだったが、開き直って反省しい、逆ギレするような人間もいるのではないだろうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年2月25日
読了日 : 2015年7月3日
本棚登録日 : 2018年2月13日

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