じっくり読みごたえのある絵本。隊員の募集に5000人も応募があって、そのなかから26人選抜なんて、めっちゃ狭き門やん!(密航者もひとりいたのね(笑)) ていうか、けっこう少ない人数だったんだなとおどろいた。でも、そういう少数精鋭だったから乗り切れたんでしょうね。
隊員の名前や犬の名前までていねいにつらねていくことが、あとあと状況がきびしくなってきたときに刺さってくる。隊長のシャクルトンがひたすら有名だけど、隊を割って救助を要請にいくチームと居残りのチームにわけたとき、残留組をひきいたワイルド副隊長もすごく有能だったんじゃないかな。
あと、ものすごくきびしい状況のなかでも、犬ぞりレースをしたり音楽会をひらいたり、詩を朗読したり、食事に気を遣ったりという人間的な度量というか、ユーモアを忘れないのがすばらしい。だからページをめくっていてもどこか明るさが漂っているんですよね。状況はまっ暗でも現代の「ブラック企業」なんかよりはるかに人間的。このあたりが、エンデュアランス号の物語が求め続けられるゆえんではないかと感じた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2016年10月26日
- 読了日 : 2016年10月26日
- 本棚登録日 : 2016年10月25日
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