影との戦い ゲド戦記 (岩波少年文庫)

  • 岩波書店 (2009年1月16日発売)
4.13
  • (24)
  • (14)
  • (13)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 224
感想 : 20
5

30年ぶりの再読。最後のとてもユング的なひとことだけが記憶にあったのだけど、すごく濃密でよかった。

たしか「真の名」というものに言及があったよな、と思っていたんだけど、言及があるどころか、それこそがメインというか。この、真の名を知ってそれを呼べば相手を支配できるというのは、どこの文化からきた思想なんだろう。ネイティブアメリカン? 「千と千尋の神隠し」などのように、名前が重要な役割を果たしている児童文学はいろいろあるので、興味深いなと思っている。

不安を感じながらも「おまえ、怖いんだろう」と挑まれたことに反発して影を呼びだしてしまう若き日のゲド。それに対し、本物の恐怖と敗北を知ってからのゲドは、自分の不安を直視し、人に対しても率直に「こわい」と認めるようになる。それこそが成長なんだろうな。

いろいろな深さを持った本。あらためて読めてよかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2023年9月11日
読了日 : 2023年9月11日
本棚登録日 : 2023年9月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする