30年ぶりの再読。最後のとてもユング的なひとことだけが記憶にあったのだけど、すごく濃密でよかった。
たしか「真の名」というものに言及があったよな、と思っていたんだけど、言及があるどころか、それこそがメインというか。この、真の名を知ってそれを呼べば相手を支配できるというのは、どこの文化からきた思想なんだろう。ネイティブアメリカン? 「千と千尋の神隠し」などのように、名前が重要な役割を果たしている児童文学はいろいろあるので、興味深いなと思っている。
不安を感じながらも「おまえ、怖いんだろう」と挑まれたことに反発して影を呼びだしてしまう若き日のゲド。それに対し、本物の恐怖と敗北を知ってからのゲドは、自分の不安を直視し、人に対しても率直に「こわい」と認めるようになる。それこそが成長なんだろうな。
いろいろな深さを持った本。あらためて読めてよかった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2023年9月11日
- 読了日 : 2023年9月11日
- 本棚登録日 : 2023年9月11日
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