ねじの回転 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社 (2012年9月20日発売)
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感想 : 17
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良かった。一息に読んだ。全く怖くないので、ホラーと思って読むと肩透かしを食らうだろう。
語り手の女性家庭教師のうねるような独白が延々と続く。遠回りでまわりくどい思考と行動の仕方ではあるが、ねじをぐるぐると回すように次第に核心へ近づいていく。しかしその中心部にあったのは不可解な空白だった。
どうとでも取れる曖昧さに痺れる作品。(私は、家庭教師の思い人はマイルズだったのだろうと考える。だってそう考えた方が、あのラストが何倍にも引き立つから。)

性的なほのめかしが多いそうだが、(ポケットに手を入れる、木の板に棒を入れようとする、大きな◯?)読んでいるときは全く気付かなかった。訳が変われば印象も変わるだろうか。

解説おもしろい。ヘンリー・ジェイムズの他の作品、特に晩年のもの(鳩の翼、大使たち、黄金の盃)を読んでみたい。

スティーブンスンと仲が良かったそうだ。中島敦の『光と風と夢』を調べてみると、「コルヴィン、バクスター、W.E.ヘンレイ、ゴス、少し遅れて、ヘンリィ·ジェイムズ、思えば俺の青春は豊かな友情に恵まれていた。(位置No.334)」とある。少し遅れて…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年3月8日
読了日 : 2017年3月8日
本棚登録日 : 2017年3月8日

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