劇画家畜人ヤプー【復刻版】

  • ポット出版 (2010年3月17日発売)
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本棚登録 : 207
感想 : 20
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 30分程度でパラパラ読んだので正当な評価を下さる自信はないが、なんというか「下品」という一言に尽きる。内容に関してはマゾヒズム色が非常に強く、ここで書くのも憚られる内容である。筆者がこの本を書く経緯や時代背景を詳しく知らないのだが、今なら完全にアウトであろう。なんなら、現代のポリコレの対義語はこの「家畜人ヤプー」といっても良いと思う。 
 まあこのように悪い評価を投稿しているが、かくいう私もこの本の内容がヤバいという評判に惹かれて読んでしまったので、一定の魅力がある点は認めざるを得ない。しかし、読了後の評価はまぁ読んでも読まなくてもいいかなという感じである。
 さて、この本の構成に関してだが、ストーリーと並行して、それを補足する形で途中に様々な日本人を改造した説明文や日本人が奴隷化するに至る人類学的証拠の論文のようなものが散在している。それらのいずれも衒学的で説得力に欠けると言いたいところだが、まぁその適当さを愉しむのも一つである。
 内容であるが、まぁ違和感を多分に感じるが、一番は発展した文明であるはずの登場人物達があまり譲歩を使わずに、一方的な決めつけや押し付けの言葉を使う所が引っかかった。一つの答えがあると信じて疑わない人達が登場人物なので、もしこの場に自分がいたら喋ってても話通じないだろうからイライラがたまるだろうなという想像が膨らむ。
 だが、もしそのような態度をとる人物をわざと登場させることで、実は読者の白人社会や人種差別に対するある種のアンチテーゼを煽ることを裏テーマに筆者が考えていたのならば、なかなか風刺が効いていて面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年10月17日
読了日 : 2022年10月16日
本棚登録日 : 2022年10月16日

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