庄屋のお嬢さんだったミネは、小作農家の吉次の子を宿す。誰にも賛成してもらえないふたりは正月に駆け落ちを決行。吉次は愛馬のアオを連れて。
ミネがいなくなり、怒り狂う庄屋はなんとかして見つけ出し、吉次を殺す。
そして気がふれたようになっていた、産み月近くのミネを家に連れ戻す。
そこで生まれたのが、捨造。捨造は小作農家へ養子に出される。養子先で見つけた、北海道開拓民募集、に応募、有り金をはたき一頭の馬を連れ、北海道へ。
その途中、母のミネから渡された紙切れは、気がふれた母の文字ではなく、きちんと書かれたミネの物語だった。
やがて捨造は、根室に住み着く。
そこで、やはり馬を育て生活していた。息子は戦争に行き戻ってこなかった。息子の妻、その3人の子とともに生活する。3人の中で一番上の子ども、和子が馬に興味を示した為、捨造は馬を育てることを教え込む。
そんな中で、台風にあい、馬を多数崖崩れした島に泣く泣く置き去りにしなければならなくなり、それと同じ頃から、家業が傾き始める。
このあと、捨造は牧場をたたみ、十勝の息子の嫁の実家へ行く。
次は、和子がおばあちゃんになり、病院のICUで意識を取り戻す。和子の娘は未婚の母となり、ひかりを産む。女三人で生活をしていた。
畜産大学の学生ひかりが物語の主人公となる。
途端に、仕方ないけど話が軽くなる。自分の通う大学に、馬研究会があり、その会でおばあちゃんの話に出てくる、花島に置き去りにされた馬を調査していることを知る。
そこに直談判に行き、連れて行ってもらえることになる。
で、花島へ行き、最後の一頭にあい、この馬はここで住むことを選んでいる、と納得して島をあとにする。
一部二部は、面白く読めた。その後の現代の三部からはちょっと展開がありえないことばかりで、失速。
馬は選んでいない。置き去りにされた。人間の都合で。それだけの事実を、またもや人間の都合で美化しているだけのように思った。
話自体は面白いし、馬が好きな私は楽しく読めた。
まだまだ、人間は自然の厳しさに勝つことはできないのだと、改めて感じる。きっといつまでも、勝つことはない。
- 感想投稿日 : 2022年12月17日
- 読了日 : 2022年12月17日
- 本棚登録日 : 2022年11月25日
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