文系学部解体 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年12月10日発売)
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感想 : 30
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あっはっはっは。
つい声に出して笑ってしまった。室井尚さん。すいません、今まで存じ上げなかったのですが、横浜国立大学の先生なのですね。(内田樹推薦、が目を引いた)うわー、言うべきことを言ってるなーと、楽しくなりました。

国公立大学から文系学部がなくなる、とメディアがざわついたことは比較的記憶に新しい。で、ここにこんなに憤っている方がいらっしゃったわーと思って嬉しかった。

12月22日付の朝日新聞、鷲田清一の折々のことばにはこう書いてあった。
「死ぬとわかっていてなぜ人は生きていけるのか。その根源的な理由を考えるのが、文学部というところです。大宅映子」

これを見せてもらったとき、しみじみそうだなあと感じたし、これを載せた鷲田清一の思うところにも共感したのだった。

学問とは使えるか使えないか、便利か不便か、そんな選択でははかれない「知へのアプローチ」だと思っている。
筆者の言うように、ものをどう見るか、考えるか。本当はそういう所に楽しさがある。

でも、訳の分からない名前のナンデモアリな文系学部とか、就職が厳しいものだからコーディネイター化してみたりとか、ともすれば資格取得で釣ろうとする高級専門学校化とか。
学問からずっと離れたアプローチに切磋琢磨してきた大学も沢山ある中で、生き残るってどうしたいの?とも思わなくもない。

つまり、それが学生のニーズなら、それが国や産業界のニーズなら、って簡単に切ってしまえる大学も少なくはないのかもしれない。残念だけど。

筆者のような方が声をあげることで、文学部が単に軽視された末に消えてゆくのではなく、文学部が希少であることで本来的な意味で確実に生き残れば良いのにな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2015年
感想投稿日 : 2015年12月28日
読了日 : 2015年12月28日
本棚登録日 : 2015年12月28日

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