死神の浮力 (文春文庫 い 70-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2016年7月8日発売)
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感想 : 544
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予習のつもりで『死神の精度』を読んだあとなのだけど、まさかの二作目が長編とは予想外。
さらに、私的には今作の方が面白かった。

サイコパスという、25人に一人の人格破綻者に復讐するために、山野辺夫妻と死神千葉さんが行動を共にする。
千葉さんの、時空超越っぷりは健在で、だからこそ緊迫しっぱなしのストーリーには良い意味で一息つく隙が生まれているように思う。

それにしても、サイコパスこわー。
いや、フィクションの世界だからではなく、現実に他人の苦しみを糧に、自らの欲望を満たすことを優先した事件は少なからずある。
そういう事件の犯人の供述を読むと、反省よりもそこでより社会を挑発してやろう、と笑っていたりする。

途中、イヌイット族「クンランゲタ」の話が挿入されるのだけど、これが抜群に効いている。
社会からはみ出していく者をクローズアップしながら、死神側の組織や制度についてはカッチリお硬く書かれているし、メディアと被害者と加害者の立場を喰っていくような構成も面白い。
しかしまあ、これは千葉さんの真面目な仕事っぷりあってのことですね。

楽しめました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2016年
感想投稿日 : 2016年7月17日
読了日 : 2016年7月17日
本棚登録日 : 2016年7月17日

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