お薦めされて読了。
とても、「わかりやすい」一冊だと思う。
文章を読めることと、その文章を分かっているかどうかというのはベツモノだと思う。
ただ、初読がいかに「わかったつもり」な状況であっても、そこで得る感動は他に代えられない。
同じく、結果・結論によるミスリーディングが起こり得るとしても、一読してみなければ俯瞰的に文章を見つめることは出来ないだろう。
つまり、「わかったつもり」であることは意識すべきだけれど、未然に防ごうとはしなくて良いということだ。
「読み」を深めるためには、結局何度も文章に立ち返り、スパイラルに理解を続けていくしかないのだと私は思う。
そして、そのスパイラルの過程で各々が「わかったつもり」から抜け出していく。一つの作品から、沢山の論文が生まれるのは、決して一つが正しくて、後は間違った読みをしているわけではない。
どの方向へ認識を持っていくかというのも、その人の経験則やひらめきに左右される。もちろん、それは文を離れてはいけないのだけれど。
そこでは、書き手の、読み手への配慮も本当なら必要だろう。スムーズな理解を促す文章ではない作品は、幾らでもある。
また、わかっていないことと知らないことにも隔たりはある。書き手が明示しなかった情報で、我々が路頭に迷うことだってあるだろう。
「わかったつもり」が「わかった」になる瞬間の満足。
今迄に気づかなかった伏線から、思いもよらない道が拓けた時の高揚感。
「読み」を深めることは、読書を楽しむ者にとって一つの目的である。非常に良かった!
- 感想投稿日 : 2015年9月20日
- 読了日 : 2015年9月20日
- 本棚登録日 : 2015年9月20日
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