ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2004年11月28日発売)
3.63
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本棚登録 : 1476
感想 : 155

わたしは女性の書いたエッセイを読むのが、好きだ。その中でも、好きなもの、そうでないものと、わたしなりの好みがあるから、あらためて、みずからの嗜好にかなうエッセイとはどんなものか、思い巡らしてみた。

息の長い文章が好きだ、と思う。細かく切れた文章は、なぜか読みの呼吸がうまくあわずに、気持ちよくなれない、心地よいドライブ感がないのだ。おそらくこれは生理的な問題だ、と思う。

わたしは、「である調」で書かれたものが好きだ、と思う。文末が「である」で綴られていると、リズムが生じて、なんだかとても心地いい。「ある」っていう表音のコロリとした語感が、とてもかわいい。

またゆる~い、日常の些細なことに一喜一憂しているエッセイが好きだ、と思う。些細なことを一まとまりの文章にすることは、意外に難しい。その出来事やその際のこころの動きは、なにせ忘れやすいし、日常ではそれほど頻繁に心が動いているわけではないから(大きく動いてないから日常なのである)。できれば、みずからをかるく揶揄するゆる~いユーモアが加われば、わたし好みである、ように思う。

と、いくつか嗜好にかなうエッセイの要素を挙げてみたけど、以上のような考えるきっかけをくれた、川上弘美さんのエッセイに、キリッと頭を垂れる、わけですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 随筆・エッセイ・紀行文
感想投稿日 : 2014年3月9日
読了日 : 2014年3月9日
本棚登録日 : 2014年3月9日

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