双子座

著者 :
  • WAVE出版 (2010年3月19日発売)
4.16
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本棚登録 : 369
感想 : 47

星占いの本を覗くと、笑ってしまうほど見当はずれの文句が並んでいることが多いから、その類の本は面白半分で読むことがほとんどだった。その特徴といえば、占者のあらぬ断定的な語り口に陥っているものが多くて、生真面目な僕を置き去りにしてしか楽しむことができなかった。しかし彼女の本は、特に序盤、星月をもとにしたキーワードの選択がとても効果的で、また読み手にそっと差し出す説話体の抑えた口調にも引き込まれた。なぜなら差し出されたもののフレーズの中から僕は心当たりのあるものを自由に選ぶことができるから。引用の言葉にみるような熱っぽい口調もあるが、僕は「ふたご座」を主人公にした物語のようなものとして読み通すことができた。ふたご座の僕にあてられたキーワードは、「物語」と「言葉」と「意味」と「関係」。星月のもとに与えられた道へ、僕は徐々に還っていくのだろうか、そんな気持ちに十分にさせてくれる稀有な本だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 占い本
感想投稿日 : 2013年10月31日
読了日 : 2013年10月31日
本棚登録日 : 2013年10月31日

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