日本は世界1位の政府資産大国 (講談社+α新書)

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  • 講談社 (2013年10月22日発売)
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日本の国債は1000兆円。他方、資産も630兆円。負債に対する資産の比率は60%。アメリカが同15%であることを思えばまさにタイトルどおり。増税の前に、金融政策、政府資産の売却など、踏むべき手順があると著者は訴える。財政出動による公共事業への投資が景気の浮揚策となりえるのは、為替が固定相場の場合。今は変動相場制。財政政策を実施するには国債を発行して民間から資金を集めなければならない。国債を売るということは、市中のマネーを引き揚げるということ。金融は引き締められ、金利は高くなる。金利が高くなれば円が買われて円高が進む。円高が進めば輸出産業が打撃を受け公共投資による効果は相殺。しかも国債という借金だけが残る。これが今も飽くことなく実施されている。国債発行と同時に金融緩和に踏み切ることによりこれを阻止することもできるが、もっといいのが日銀の直接引き受け。増税ではデフレを深刻化させ税収減を招くだけ。財政事情も思ったほど好転しない。日銀の国債引き受けは禁じ手といわれるが、現実に毎年行われており、通貨の信認も損なわれていない。大手マスコミはなぜかこうした事実は報道しない。そもそも企業経営が大変になれば、まず金融資産を売却するのが普通。経営が苦しいときに製品単価を引き上げる経営者はいない。序章で心を鷲掴みにされ、その後も埋蔵金、公務員に蝕まれる税金、天下り法人全廃で200兆円、100兆円にのぼる不要な外為特会など、興味深い内容が続く。一瀉千里の一気読みであった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済
感想投稿日 : 2014年2月15日
読了日 : 2014年2月15日
本棚登録日 : 2014年2月15日

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