派遣という仕事の実態、いじましい派遣職場の人間模様、体験した者ならではの視点で描出。息遣いまでもが聞こえそうな近さで体感できた。いつまでもモラトリアムを求めようとする弱さと低いハードル。自分にも共鳴するものがあり、胸が詰まるような切実さをもって読んだ。他方、現実をしっかり肯定し、大地に決然と屹立する主人公も潔く清々しい。「辞める人が多いので、キツイところは単発が穴を埋める使い捨てが当然の職場を私は嫌いじゃない。何故なら世の中の綺麗事を忘れさせてくれるからだ。改善なんてされようがない現実を肌で知るのが生きる事だと笑うしかないと教えてくれたのだから拍手したいぐらいだ」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2013年1月19日
- 読了日 : 2013年1月19日
- 本棚登録日 : 2013年1月19日
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