日本の風俗嬢 (新潮新書 581)

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  • 新潮社 (2014年8月9日発売)
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性風俗店で男性が求める「明るさ」「コミュニケーション能力の高さ」「気が利く」「優しさ」は、介護職員に求められる適性と一致する。介護職員として優秀な女性ほど、性風俗でも活躍できる能力がある可能性が高い。介護福祉士を取得している女性であれば、なおさらである。性風俗に流れて成功する人は非常に多い。普通に生活できる程度の賃金すら支払えない介護業界では副業の許容は当たり前。慢性的な人手不足で人材は流動的、副業程度では解雇になることはまずない。介護職員の性風俗への流出が続き、兼業風俗嬢が他の職員より豊かで楽しそうに生活してみれば、さらに人材の流出は進む。優秀な女性ほど風俗嬢としても成功するので、本業だったはずの介護はいつの間にか見切りをつけられる。介護職の高い離職率は社会問題になっているが、性風俗への流出は明らかにそれに拍車をかけている。財政難による介護保険の報酬抑制も、さらに追い打ちをかけることになりそうだ。介護職員の性風俗への流出は、今後さらに増大することが予想される。「介護は熱い思いを伝えられる素晴らしい仕事、夢がある」などと必死に訴えても、蓋を開ければ豊かさの欠片もない貧困女性の巣窟。介護施設を運営している著者自身の悲痛な叫びが胸に迫る。
日本の風俗嬢推定40万人。実に20~34歳女性の実に30人に一人。韓国国内で行き場を失った風俗嬢が数万人規模で日本に上陸し、その99%が本番サービスを行う。日本国内に渦巻く巨大マーケット。何とも嘆かわしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2015年10月2日
読了日 : 2015年10月2日
本棚登録日 : 2015年10月2日

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