最澄と空海 日本仏教思想の誕生 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社 (1998年12月10日発売)
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感想 : 6
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二人とも中国に留学して密教勉強したんだっけな、くらいで読んでたら思ったよりも仏教教理に突っ込んでたところも多くて、正直に言えばかなり読みづらかった。

また、問題の立て方も分類そして対立項の整理というのを繰り返しておりかなり地味です。

しかしながら、そうして抽出した日本仏教における初期のエートスは非常に魅力的である。以下に引用する。

”このような現代の精神状況は、しかし、われわれが「聖なるもの」を完全にあきらめねばならない、と告げているわけではない。世界を想像し、世界を超えた神の存在の弁証が困難となったとしても、そのようなかたちの神ではない「聖なるもの」の弁証は可能と思われる。仏教の伝統、とくに密教の伝統は「世界の聖化」の可能性を示すことによって、「聖なるもの」を弁償し続けてきた。”

ここにあっては視点は宗教学の範疇からさらに遠くに届くまでになっているわけで、その点で著者に敬意を表したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年3月7日
読了日 : 2016年3月7日
本棚登録日 : 2016年3月7日

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