ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (10) (電撃文庫)

著者 :
制作 : さんば挿 
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016年7月9日発売)
4.06
  • (11)
  • (17)
  • (5)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 142
感想 : 11
5

一気呵成に読んでしまった!
実に久しぶりに胸のすくような気分と温かな気持ちになれる巻。

キオカ軍の挟撃を受けて苦境に陥る姫様やマシューたち帝国軍。
そんな絶体絶命の場面に登場するイクタは正しくヒーローだろう。
でも、英雄嫌いなイクタに敬意を表するならばこれは、いわば掛けがえのない仲間の帰還だ。

帰ってきたイクタの姿を見出した仲間たちの反応が実にいい。
サザルーフの絶句。
トルウェイの驚嘆。
シャミーユのゆめうつつ。
そして、文句を言いながらも抑えられない涙を流すマシューと、言葉ではすべて否定しながら募らせた想いを語るスーヤがとてもいい。
胸が熱くなった。

そんなイクタの帰還の巻だから、多少チートな展開だとしてもそれはそれでいいよね(笑)
ジャンの作戦とハロの工作のすべてを手玉にとって、ようやく主人公が返ってきたのだと実感する。
いやなんというか、イクタが返ってきて戦闘場面の情報量が10倍ぐらいに増えた気がするな。

そしてハロの件への決着。
もう少し引っ張るかとも思ったけど、イクタが返ってきたならもはや隠し通せるわけがないのだ。
でも、この決着はたぶん賛否両論あるだろう。
そういう意味でマシューはある意味読者の代弁者だといえる。
その疑問と納得いかなさと迷いは読む者の気持ちと同じだ。
だからこそ、これは一つの選択なのだと思う。
こういう選択をする仲間がいる、これはそういう物語なのだ。
そう思えば、これはこれで納得かな。

さて、物語はイクタの帰還という大きなイベントを終えて、これからどう広がっていくのだろう?
新たなキャラの登場でこれまでの軍事だけじゃなく内政と外交にスポットが当たるのだろうか?
続きを待とう。

それにしても8巻読んでからここまで3冊、一気呵成に読んでしまった。
それだけの熱を感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2016年7月21日
読了日 : 2016年7月21日
本棚登録日 : 2016年7月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする