街の灯 (文春文庫 き 17-4)

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年5月10日発売)
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絵に描いたような上流家庭の娘花村英子の日常生活の描写から始まり、なんだか私にそぐわない作品なのかと思い始めた頃、家付の女性運転手別宮みつ子が現れ、話は一気に活気を帯びて面白くなってきた。
舞台は昭和7年に設定されていて、女性の社会進出が未熟なそんな時代に武術も一流な女性の運転手というのが奇異な存在だとされるが、そんな事を意に介さず、というよりもあえて雇ったのかもしれない英子の父親の言、「(女性の運転手を雇うのが)最初で悪いか、一番槍は武家の誉であろう」は実に気持ちよかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年6月16日
読了日 : 2022年6月16日
本棚登録日 : 2022年5月22日

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