アメリカの犯罪小説。偶然、銃撃戦のあった現場から大金を見つけた主人公が殺人者に追われ、事件に巻き込まれていく。読点を極力省き、鉤括弧を使わない文体。
独特の文体ではあるが、人物の行動に焦点をあてる描写と相まって、違和感はない。いかにもアメリカらしい乾いた狂気といった感じ。おそらく、これが湿っぽい描写だったら、雰囲気に合わず、単に読みにくいだけだっただろう。鉤括弧のないセリフに関しても、各セリフが短いことでそんなに混乱しないし、サラッとしているが印象深い。映画になっているようだが、確かに向いている気がする。
話の展開としては、主人公モスが死ぬシーンの描写がうまいと感じた。保安官の話に移ったと思ったら、何の前触れもなしにモスが死んでいる。あたかも、今までに死んだ他の人間と大差がないように。非常にやるせない気分になる。だが、これが殺されるということなのだろう。
最後の夢のシーンはとても印象深かった。生き延びる運命、死ぬ運命。それは誰が決めるのか。殺人者シュガーはその運命の執行人なのか。保安官ベルは最後、運命に引き寄せられたと感じたようだが、どうなのだろう。個人的には、それは本人が決める問題だと思う。ベルがそう思うのなら、やはりそれは運命なのだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2013年9月10日
- 読了日 : 2013年9月10日
- 本棚登録日 : 2013年9月10日
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