女性労働と企業社会 (岩波新書 新赤版 694)

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  • 岩波書店 (2000年10月20日発売)
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企業社会において、女性の労働はどのような位置づけか?男女平等なんてありえるのか??


細かい事例もときたま紹介しているけど、どっちかっていうとマクロの一般論って感じ。
事例ばっかり集めて感情的になるのではなく、いろんな角度から分析していて冷静な視点で描かれていて、面白かったー。


 
昔は女は結婚退職までの「腰かけ」の仕事で数年勤めればよかった。性別によって採用区分が違っていて、男の仕事を女が補佐する形だったこと。では今は??

今も男の仕事を女が補佐する形はあまり変わっていない。建前上は性別によって、採用・昇進に差をつけてはならない。
だが「能力主義・結果主義」の名のもとに、結局女性のほうが昇進しにくいのだ。
それは男は結果が見えやすい仕事を割り振られるのに対して、女は「必要だけど数値化しづらい」、結果が見えにくい仕事にばかりつかされているから。

そしてそれは仕事にも性別(?)が割り振られているのではないかと。
「きつい」「闘争的」「汚れ仕事」などなど、「前線」で働くのは男の仕事。
後者は「気配りが要求される」、「細かい仕事」などのいわゆる「女性ならでは」の仕事。つまり補佐的業務を「女性に向いている」としておしつけている。

結局「性別で差別してはいけません」⇒「性別じゃないよ、『能力』に応じた仕事を割り振って、それに見合った処遇を行っているんだよ」って理屈が通っちゃうのかぁ・・・


あと「能力主義」社会における「能力」=夜中も土日も働ける能力をさすらしい。
すなわち女性は家庭のこともやらなければならない=どうしても勤務時間に制約が出る=就かせる仕事にも制約が出る=昇進が遅いのは仕方ない。
という論法。


でもこれってさ、「仕事と家庭の両立」なんて女にだけ押し付けられているってことじゃん。男も女も働くなら、男も同等に家事やれって思うww
二人とも忙しくてやり切れないなら、外部に委託するって選択肢もありだよね。
女が働くには「家事と育児に支障をきたさない範囲で」旦那の許可をもらってから、なんて話も当然のようにあるしね。


そして今も女性を看板としかみていない企業がたくさんあるんだよね。銀行は美人=受付、ブス=金庫番…と客から隠すらしい。
不動産会社もあまり女を採用しない。ただ会社側の事情からすると、土地の利権が絡んで、ヤクザが乗り込んでくるために、仕事によってはやはり強面の男に任せたいらしい。(土地の下見をしていたらヤクザに追っかけられたりとか!!)
これは単純に女性差別だとはいえないよなー、でもなんだか腑に落ちないんだよなー・・・。


だけど女の人皆がバリバリ働くのを望んでいるわけではないし、難しいなぁ。

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感想投稿日 : 2009年7月22日
本棚登録日 : 2009年7月22日

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