愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫 フ 1-1)

  • 早川書房 (2002年8月1日発売)
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本棚登録 : 1088
感想 : 80
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エリスンの短編集の解説に「アメリカ三大堕胎小説」のうちのひとつと書かれていたので読んでみた。図書館とかなんか「海辺のカフカ」みたいな…文体の柔らかさも村上春樹やんこれ(というより逆なんだろうけど) 不思議な図書館に引きこもって暮らす主人公が、人生を狂わせるほど美しい女性ヴァイダ(命、という意味を持つ)を妊娠させてしまい、堕胎しにメキシコにいく…というあらすじで、何かが何かのメタファーになっていると読むこともできるし、単に彼の紡ぐ文の柔らかさに添うだけでも良いような気もする。
いろんなバックグラウンドもちゃんと知らず分かったような感想を言ってしまうと、フラットな日々に引きこもっていたかった主人公が、妊娠・中絶という、欲望やら肉体の軛によって俗世を生きることを強制される諦念のように読めた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年7月29日
読了日 : 2019年7月29日
本棚登録日 : 2019年7月29日

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