100まんびきのねこ (世界傑作絵本シリーズ)

  • 福音館書店 (1961年1月1日発売)
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本棚登録 : 935
感想 : 91
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猫の描きこみがすごい!

寂しいから猫を1匹飼おうというお婆さんのために、猫でいっぱいの丘に行くおじいさん。どの猫もかわいいので1兆匹ぜんぶ拾ってきてしまう。水を飲めば池は干上がり、ご飯を食べれば野原は砂漠化。それでも家まで連れ帰れば、おばあさんからさすがに皆は飼えないと言われます。どの猫にするかは猫に決めさせようとすると、猫は喧嘩をして食べあってしまいました。残ったのは喧嘩に参加しなかったやせっぽちの猫でしたが、この猫は洗ってご飯をしっかり食べさせると、きれいな猫になりました。

大人になって読み返すと色々とツッコミたい絵本。天文学的数字の猫を前に、多頭崩壊の危険を指摘するお婆さんに冷静だな、と安堵した矢先、どの猫にするか猫に決めさせるという地獄絵図の発端となる提案をしてしまう離れ業を決められて、結果、蟲毒みたいな状況に。
意味なんてないのかもですが、他者を使って軽率(殺しあっても悼みもしない)に寂しさを埋めようとしたり、選びとる責任を避けたり、自分こそが一番と主張しあって殺しあったり、歳をとってから読むと、ちょっと怖い話に思えてきます。

横長の絵本は今でこそ珍しくないですが、ガアグによって試みられたそう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2022年2月27日
読了日 : -
本棚登録日 : 2022年2月27日

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