国籍とか血筋とか、本当に大事なものなのかなと思うことがある。
生まれた国、生まれた家系というものからは離れることはできないのは事実だけど、それを大切にするのは良い事なのかもしれないけど、そういうものを抱きしめることと、目の前に広がる未知の世界を踏みしめることは別のことなんだ。国籍や血筋で、その人の未来や運命が決まるわけじゃない。当たり前のことだけど。
でも、その当たり前のことを当たり前のように信じている人って、どれくらいいるんだろう。本当は半ば運命みたいに諦めて、宿命みたいに決めつけて、袋小路から出られなくなってる人の方が多いんじゃないだろうか。
男女関係に悩み疲れた主人公の女性が、逃亡の旅の途中で出会った男の子が混血児であるという設定が興味深い。主人公にとっては、その国籍や血筋が未確定なまま彷徨う男の子を守ることが、運命や宿命から逃れ、自分の未来を切り拓く一歩なのだろう。
物語中に挿入される引用も含めたエピソードも含めて、人生の袋小路から逃れて、人間が生きていくためのヒントを少しだけもらった気がする。安心感を読む者に与えてくれるラストも含めて。
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- 感想投稿日 : 2013年2月8日
- 読了日 : 2013年2月7日
- 本棚登録日 : 2013年2月8日
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