神は妄想である―宗教との決別

  • 早川書房 (2007年5月25日発売)
3.73
  • (64)
  • (92)
  • (86)
  • (13)
  • (8)
本棚登録 : 1402
感想 : 85
4

日本人においては、仏教、キリスト教、イスラム教を問わず「敬虔な」という形容詞がつくくらいの宗教信者は少なく、新興宗教が起こした事件のおかげで「危険思想」のイメージが強く、過度に宗教的であることが忌避される文化がある。よって、著者が述べていることは至極当たり前のこととして、むしろわざわざそんなことを長々と述べなくても、、、と思ってしまう。一方で、欧米やイスラム圏においては「無神論者」であることが日本とは全く逆の捉えられ方をしているということが非常に興味深い。

私からしてみれば、昔の人がその当時の知識や文化をベースに書いた教典を、言葉のままに鵜呑みにして今も信じるなんてバカげているとしか考えられない。しかし、一旦、教義を叩きこまれて育てられた人々が、その信仰を捨てるには、このドーキンス博士が言葉を尽くして論破するようなとてつもないプロセスと葛藤を経なくてはいけないのだろうと想像される。そういった思考のプロセスを経ずに済む日本人に生まれたことはラッキーだったのかもしれない、とこの本を読んで思った。


文中のどこかで誰かの言葉として引用されていたけれど、
宗教は、愚者においては信じるものであり、賢者においては否定するものであり、為政者においては利用するものである、というのが全てを物語っているんじゃないのかと思う。


文化的な側面からも、論理的考証の実例としても、面白い1冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学術・技術・ビジネス
感想投稿日 : 2013年4月21日
読了日 : 2013年4月21日
本棚登録日 : 2013年4月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする