密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2010年1月15日発売)
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本棚登録 : 3950
感想 : 378
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現代型ミステリー。発刊が2010年とあるが、ネット社会がさらに進歩している今現在でも充分に通用する。

ハンドルネームを用いてお互いの素性をまったく知らない5人がチャットを通じてサークル活動を行なっていた。

彼らはそれぞれ1人ずつ出題者として事件を提示して、残りの4人で事件の真相について推理する。いわば推理ゲームである。
ただし、この事件は出題者が実際の現実世界で実行済みのものとなる。つまり出題者は実際に殺人を犯してきて謎を提示して、他の4人がそれを考える訳である。

サイコパスな設定のように思えるが、登場人物達は良い意味であっさりと猟奇じみているため、そこまでの不快感はない。それに趣向自体は面白いし、読者も一緒に真相を考えながら読み進めることができるので飽きがこない。
ただ、難点を挙げるとすればフーダニットが通用しないことになるかな。これは作中でも語っているが、犯人は出題者であることがあらかじめ決まっているので、それ以外のトリックで勝負することになる。
となれば、王道なのはアリバイか密室。どうしても目新しさには欠けると言わざるを得ない。
そういった意味では最初のミッシングリンクは非常に面白かった。フルコース料理の前菜としては完璧な采配であっただろう。だからこそそれに続く料理への期待値は高まってしまう。

気に入らないのはその終わり方。え?これで終わり?と拍子ぬけしてしまった。
でもどうやら続編があるみたいだ。少し間隔を置いてから読みたいな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2018年12月15日
読了日 : 2018年12月12日
本棚登録日 : 2018年12月12日

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