ヘビイチゴ・サナトリウム (ミステリ・フロンティア 2)

  • 東京創元社 (2003年12月1日発売)
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感想 : 37
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★辻褄っていうのは、まちがってても合うんだよ(p.263)

▶視点が複数の人間の内面を少しずつ明らかにし次々に移ってゆくヴァージニア・ウルフの『燈台へ』タイプ(記述は神の視点で会話主体ですが)。▶幽霊の噂。▶ハルナを慕っていた海生。▶国語教諭宮坂の小説。▶自殺した宮坂。▶盗作疑惑。▶誰もが少しずつ何かを隠している。著者も含めて。▶それぞれ気になり調べる双葉、高柳。▶宮坂の妻、緑。▶緑のつくっていたサイト「ヘビイチゴ・サナトリウム」、その中の「アルファベット・ビスケット」。▶謎の人物が(最低)一人以上いる?

■簡単なメモ

【一行目】晴れた朝、いつもの長い坂道をのぼっている。

【浅野悠名/あさの・ゆうな】→悠名
【絢/あや】藤川絢。白鳩学園高等部一年。美術部員。宮坂のことが好きだったという噂。「蒼く瞑い水の底」という小説のサイトをつくっている。
【新木双葉/あらき・ふたば】→双葉
【有坂紫乃/ありさか・しの】→紫乃
【アルファベット・ビスケット】緑のサイト中のコンテンツ。
【石原】緑の実家。
【椅子】図書室の椅子にはガタがきていた。
【糸井】文芸誌「海音」の編集者。
【岩田塔子/いわた・とうこ】図書室司書。第一印象としてミステリ的にはいちばん怪しい人物ですね。さて、どうなるでしょう?
【江崎ハルナ】→ハルナ
【オースター】ポール・オースター。アメリカの作家。『鍵のない部屋』は宮坂が小説を書くときその構造を参考にした。個人的に、オースターはけっこう好みです。
【大前】教師。
【屋上】飛び降り自殺が続出しているのに開放したままの屋上。学校のおおらかさにある意味感心しました。
【桑元さら/くわもと・さら】→さら
【さら】桑元さら。白鳩学園高等部三年。美術部員。杉村梨花子死後美術部長になった。江崎ハルナのことが嫌いだった。
【シオン】ハルナの姉。西桜大在学中に自殺。
【自殺者】自殺だったかもしれない人物は、緑、シオン、梨花子、ハルナ、宮坂。そしてもう一人。
【紫乃/しの】有坂紫乃。白鳩学園高等部一年。美術部員。細かいことは気にしないタイプ。
【白鳩学園】中高一貫校。
【杉村梨花子/すぎむら・りかこ】→梨花子
【西桜大学】宮坂、その妻の緑、ハルナの姉シオン、高柳が在籍していた。ストーリー的には広瀬も在籍してたかも? あるいは広瀬はそのうちの誰かと同一人物かも?
【制服】《制服というのはおそろしい。学校のなかに何百人もハルナの幽霊がうろうろしているのだ。》p.20
【芹沢/せりざわ】教師。
【高柳/たかやなぎ】海生や双葉の担任。数学教師。緑が亡くなるまでは宮坂と親しかった。後半、探偵役の一人になる。
【田辺】刑事。
【築島/つきしま】教師。
【辻褄】史明いわく《辻褄っていうのは、まちがってても合うんだよ》p.263
【デッサン】海生はデッサンすること自体が好きと言う。ハルナは海生はデッサンすることで自分になろうとしていると言った。ハルナ自身はデッサンすることは自分ではなく透明なものになることと言う。
【遠山/とおやま】刑事。
【中津/なかつ】美術部顧問。
【西山海生/にしやま・みお】→海生
【二年前後前】広瀬透失踪。緑自殺。シオン自殺などがあったようだ。
【野枝/のえ】橋口野枝。白鳩学園中等部一年。美術部員。
【橋口野枝/はしぐち・のえ】→野枝
【ハルナ】江崎ハルナ。死んでいるが主人公と言える。白鳩学園高等部三年。美術部の先輩。南校舎から落ちて亡くなった。ストイックに常に絵に集中していた。美大入学は確実と云われていたが、事故で失明しかけており今後どうなるかは不明だった。彼女の幽霊が出ると噂になっていた。《ハルナ先輩は正しい。それ以外のどんな部分があろうと、ハルナ先輩はそういう人だったんだ。》p.250
【美術部員】杉村梨花子(高三・自殺)、江崎ハルナ(高三・転落死)、桑元さら(高三)、有坂紫乃(高一)、藤川絢(高一)、西山海生(中三)、新木双葉(中三)、浅野悠名(中一)、橋口野枝(中一)。
【広瀬透】緑が好きだった作家のようだ。「ヘビイチゴ・サナトリウム」を通じていくらか交渉があったもよう。二年以上前に失踪した。
【藤川絢/ふじかわ・あや】→絢
【双葉/ふたば】新木双葉。白鳩学園中学三年生。海生の隣の席。三年になって海生と親しくなって美術部に入った。スラッとしている。ショートカットの髪。五歳上の兄、史明(ふみあき)がいる。後半、探偵役の一人になる。
【史明/ふみあき】新木史明。双葉の兄。優秀で今は東大生らしい。
【ヘビイチゴ・サナトリウム】緑の運営していた(かもしれない)サイト。オーナーの好きな小説・映画は、ブルーノ・シュルツ、タルコフスキー、クエイ兄弟、広瀬透、そのほか不思議な感じの映画や小説全般。
【ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹】ジェフリー・ユージェニデス著。五人姉妹がなんかよくわからない理由で自殺する話らしい。岩田が海生に薦めた。
【海生/みお】西山海生。白鳩学園中学三年生。美術部員。身長一四八センチ、体重四十キロ以下。肩までの髪をふたつに分けて結んでおり、小柄で小学生にも見える。双葉は「うみお」と呼ぶ。母は由里子(ゆりこ)。父は写真家で家を出ていった。ミステリ的には岩田に次いで有力な犯人候補の一人ではあります。
【緑】宮坂の妻だった。浮世離れしていた。コミュニケーション力不全だった。二年前飛び降り自殺した。
【みなこ】チョークの線を踏んでしまった生徒。
【宮坂雅弘/みやさか・まさひろ】国語教師。「海音」新人文学賞を受賞した。ハルナと親しかった。妻の緑は二年前亡くなっている。
【森田】『小説海音』編集者。広瀬透の担当だった。
【悠名/ゆうな】浅野悠名。白鳩学園中等部一年。美術部員。
【由里子/ゆりこ】海生の母。小学校教師。
【梨花子/りかこ】杉村梨花子。白鳩学園高等部三年。美術部長だったが自殺。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ふつう
感想投稿日 : 2023年7月7日
読了日 : 2023年7月7日
本棚登録日 : 2023年7月7日

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