子どもの問題を社会的、文化的視野の中で捉えるという視点に立ち、子どもの精神発達とその困難について総括的にまとめてある一冊。
発達に困難のある子どもと関わる大人だけでなく、親や教育に関わる人にとっても役立つ知識や、考えが散りばめられている。
心に響いた部分をいくつか抜粋。
障害名や診断名をつけることに意義は感じていたものの違和感があったが、「名前を知ることで、周りと分かち合うことができる。名前をつけることは、納得や安心感をもたらす力がある。」という記述で納得できた。
「支え合うとは、仲良くもたれ合うことではなく、競争と協力、対立と妥協、主張と譲歩、自愛と他愛など、相反的なものを調和させながら関わりあうこと。」→もたれ合う関係は、親子や恋人でもあると思うが、その違いについて理解できた。
「社会性をつけるケアやトレーニングをする考えもあるが、そこまでせねばならぬほど、社会性とは良きものなのか?」
→「私たちの社会が過敏に対人関係を働かせなければならない世界になっていないか。(礼儀、マナーとか)」
→「もっと懐の広くて深い、おおらかな社会を作り上げることが、子どもたちだけでなく、私たちに取って必要かもしれない。」
「『みんなちがって、みんないい』を、現実に振る舞わせるのは理念ではなく、異質性、多様性の中を生きてきた経験がもたらす違うことへの「慣れ」なのである」
→だから、多様性を顕在化し、子どもが意識できるかが大事。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
特別支援、発達障害
- 感想投稿日 : 2021年1月4日
- 読了日 : 2021年1月4日
- 本棚登録日 : 2020年12月31日
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