忌館 ホラー作家の棲む家 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2008年7月15日発売)
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本棚登録 : 796
感想 : 117
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処女作とのことだが、三津田らしい作品だった。
本作のジャンルはホラーだが、後発のホラー作品よりもミステリー(刀城言耶シリーズみたいな)に寄っていると感じた。それでいて刀城言耶シリーズを"裏返し"(; "逆さま"ではない)したような感触も受けた。
刀城言耶シリーズが「オカルトに見える事件を推理・論理でミステリーとして解く」のに対して、家シリーズは「オカルトに見える事件を推理・論理でオカルトとして解いた」ように見える。
本書で物語は完結しているように見えるが、あと2冊ある家シリーズの続編はどんな内容なのだろうか。
また、三津田作品のなかに"逆さま"の「ミステリーに見える事件を推理・論理でオカルトで解く」ようなホラー作品はあるのだろうか。

三津田作品としては刀城言耶シリーズだけでなく「誰かの家」のようなオーソドックス(?)な形のホラーをすでに読んでいたので、著者の文章の書き方の多彩さは知っており、本作を楽しむことができたが、もし、本作から時系列に沿って読んでいたのなら、刀城言耶シリーズの2作目くらいで「幅が狭い」として読むのを止めていたかもしれないと思った。

余談だが、カバー表紙の絵はそれだけでも怖いが、読み終わると意味が分かる。読むまでは不気味な女性だと思っていたが、読み終わると女装のようにも見える。不思議。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ホラー
感想投稿日 : 2024年4月7日
読了日 : 2022年9月19日
本棚登録日 : 2021年2月1日

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